2023年

2023年も残すところ僅かとなりました。

今年はいつまでも暖かいと思っていましたが、最近ぐっと寒くなりましたね。

年末に向けて、バタバタしていますが、風邪などひかないように気を付けながら、あともうひと頑張りして、年末を迎えたいと思います。

この1年間を思い返せば、弁護士法人心大阪法律事務所に所属する弁護士やスタッフの人数も増え、いろいろ環境にも変化はあったものの、今年もあっという間に1年が終わるなとの印象です。

 

来年は年女です。

自分の干支が回ってくるとなんだか嬉しい気持ちになります。

ただ、もう12年も経過したと思うと歳をとるスピードは早いなと思ったり、自身の精神年齢の成長は追い付いていないなと思ったり、いろいろな感情が沸き上がります。

毎年の目標など立てると良いのかもしれませんが、何を目標とするのか、なかなか思いつかないところです。

ひとまず、毎年代わり映えしないですが、目の前の問題などに丁寧に向き合い、一つ一つ乗り越えていくことで、その先に成長があればいいなと思います。

 

弁護士として働き始めてから、主に交通事故などで怪我をした人の損害賠償請求事件を担当していますが、まだまだ力不足を実感することがあります。

日々作業をこなすだけにならないよう、気を付けつつ、来年も過ごしたいと思います。

「郵便の転居届に係る情報の弁護士会への提供の開始」の件

 交通事故の相手方などに賠償請求を行いたい場合、相手方の居場所を把握する必要がありますが、相手方が交通事故証明書に記載の住所から引っ越しをし、かつ、住民票を引っ越し先に移していない場合などは、相手方の居場所を把握するのは困難なことが多かったのですが、新たに、相手方の居場所を確認する方法として、令和5年6月1日から、弁護士が、弁護士会を通じて、日本郵便に対して、転居届に係る新住所の情報を照会した場合、相手方の転居届に係る新住所の情報の提供を受けられるようになりました。

 

 もちろん、弁護士会を通じた新住所の情報の照会が全て認められるわけではなく、弁護士会が弁護士の照会の申出内容を審査し、DV・ストーカー・児童虐待の事案と関連が疑われるようなケースや照会を通じて新住所の情報を得ることが適当でないと判断した場合は、情報の提供は受けられない手続きとなっています。

 

 交通事故の相手方の居場所が交通事故証明書や住民票で把握できない場合、新住所を確認する手段が新たに増えたことは良いことだと思います。
今後、交通事故証明書や住民票などからでは、相手方の居場所を把握できないような場合は、日本郵便に対する転居届に係る新住所の照会を行ってみたいと思います。

民事訴訟手続きのオンライン化

令和5年3月1日から民事裁判でWeb会議を利用できる範囲が広がりました。

今までは、民事裁判におけるWeb会議は、当事者双方がWebで参加する場合には、法的には書面による準備手続であったため、準備書面の陳述や証拠調べなどを行うことができませんでした。

Web会議で弁論準備手続きを行うためには、当事者の一方が裁判所に実際に出頭しなければいけまでんでした。

 

令和5年3月1日以降は、当事者双方がともに裁判所に出頭しなくともWeb会議で弁論準備手続を実施できるようになりました。

また、和解期日にも当事者双方がWeb会議で参加することができるようになりました。

 

今回の改正で、当事者が遠隔地に居住していない場合でもWeb会議を利用して裁判手続きに参加できることも明確になりました。

弁護士が事務所などから弁論準備手続などに参加できる幅が広がったことは、裁判所までの移動時間を省くことができるため、業務の効率化につながりますし、移動時間を考慮すると期日の調整が先の日程にしか入らないといったことを防げます。

当事者双方がWebで参加するWeb会議で弁論準備手続や和解期日を実施できるようになったことは、良かったと思います。

 

判例・裁判例を調べる

交通事故で過失割合などについて争いになっている場合、別冊判例タイムズ38号で似た事故類型の過失割合を確認することに加えて、似た事故態様の裁判例がないか調べることがあります。

裁判例を調べるのは、別冊判例タイムズ38号だけでは、過失割合の検討に不十分であったり、裁判所の判断の傾向や類似の事故状況で依頼者に有利な判断をしている裁判例があれば、どのような理由付けで有利な判断がなされたのかを確認し、依頼者に何か有利な主張ができないか検討する際の参考にしたりするためです。

 

裁判例を調べる際は、判例検索サービスを利用しています。

弁護士法人心では、判例秘書、TKCローライブラリー、D1-LAW、westlawjapanなどの複数の判例検索サービスを利用できるようになっています。

それぞれの検索システムで掲載されている裁判例が異なることもあるため、一個の判例検索サービスだけではなく、他の判例検索サービスで似た事故態様の裁判例がないか調べることもあります。

 

交通事故の発生状況ごとに、過失割合は、ある程度類型化されていますが、個別具体的な事故について、事案に即した主張を行うためには、裁判例の調査も重要となります。

大阪で交通事故で弁護士をお探しの方はこちらをご覧ください。

最高裁令和4年3月24日判決

交通事故において、自身が契約する人身傷害保険会社から先に保険金を受領した場合、当該保険金を支払った人身傷害保険会社は、交通事故の相手方が加入する自賠責保険に対し求償し、自社が支払った保険金相当額を回収します。

人身傷害保険会社が交通事故の相手方の自賠責保険から受領した自賠責保険金は、交通事故の相手方が負担すべき損害賠償額から控除されるのかという争点について、交通事故の相手方が負担すべき損害賠償額から、人身傷害保険会社が保険金の支払により保険代位することができる範囲を超えて自賠責保険金に相当する額を控除することはできないというべきであるとの最高裁で判決が出ました。

最高裁令和4年3月24日判決は、人身傷害保険の具体的な約款の文言を解釈して判断を示しているため、今後の全てのケースにあてはまるわけではありませんが、人身傷害保険会社の求償の範囲と自賠責保険の問題について、交通事故被害者に寄り添った最高裁の考え方が示されて良かったです。

交通事故には様々は保険の種類が登場し、保険会社等によっても約款の文言が異なる場合もあります。

控除について適切に算定しないと交通事故被害者の方が不利益を被ることになるため気を付けていきたいです。

詳しくは弁護士法人心へご相談ください。

労働能力喪失期間(12級13号)

交通事故で負った怪我により神経症状が残存してしまった場合,同症状について後遺障害等級12級13号が認定されることがあります。

後遺障害について等級が認定された場合,原則,症状固定時から67歳までの期間が労働能力喪失期間と判断されますが,神経症状について後遺障害等級認定を得ている場合,裁判所は,12級で10年程度,14級で5年程度に労働能力喪失期間を制限して認定することが多いです。

なぜ,神経症状に関する後遺障害の場合は,労働能力喪失期間が制限して認定されることが多いのでしょうか。

これは,神経症状については,不可逆的・永続的に残存するかは確定的でなく,それが軽快する可能性も否定できない,又は,症状に対する慣れといった要素から労働能力への影響は次第に減少する可能性があると判断されることがあるためです。

 

ただ,神経症状について,症状固定後に改善傾向が認められる場合は別として,他覚所見があり,かつ,全く改善傾向が認められない場合に労働能力喪失期間を制限する合理的根拠はあるのでしょうか。

神経症状に関する後遺障害だからといって安易に労働能力喪失期間を制限することは合理的ではなく,後遺障害の程度,加齢による後遺障害への将来的な影響,年齢,職業などを総合的に勘案して,労働能力喪失期間が制限されるべきか慎重に判断される必要があるのではないかと考えます。

詳しくは弁護士にご相談ください。

TFCC損傷と素因減額

交通事故により転倒するなどして手首を負傷した場合,TFCC損傷と診断されることがあります。

(TFCC損傷とは手首の小指側にある骨と骨の間にあるハンモック状の組織(三角繊維軟骨複合体:Triangular Fibrocartilage Complex)を損傷することを意味します)

 

TFCC損傷は,交通事故による外傷以外でも継続的に仕事で手を酷使することで生じたり,加齢によって生じたり,もともと腕の骨が長いことによって生じたりと様々な要因によって生じます。

 

そのため,交通事故被害者の方が自賠責保険でTFCC損傷が事故で生じたとして後遺障害等級認定が得られたような場合でも,加害者が加入している保険会社などからは,TFCC損傷の発症には,事故による外傷だけではなく被害者側の要因(素因)の関与が考えられるため,賠償金を減額するべきであると素因減額を主張されることがあります。

 

しかし、TFCC損傷の後遺症を肯定した裁判例には,素因減額がされてない例も多くあり,加害者が加入している保険会社などから素因減額を主張された場合には,不当な減額がなされないよう具体的事情にあわせて適切な反論することが重要となります。

 

どのような場合に素因減額がなされているのか弁護士として裁判例の検討を行いたいと思います。

仕事納め

今年は,本日で仕事納めの予定です。

すっかり,マスクを付けての生活には慣れたものの,今年は新型コロナの流行で今までにない1年でした。

事務所から感染予防のため外食の自粛要請があったこともあり,外食ができない1年ともなりました。

昨年の今頃は夏には,新型コロナの流行は治まっているだろうと思っていましたが,そんなことはなかったですね。

東京オリンピックは開けるのでしょうか・・・

 

最近は,気温が下がったためか感染者数はますます増加しており,新型コロナの流行が治まる日は来るのだろうかと不安に思います。

年末年始も気を引き締めて感染対策をしようと思います。

例年であれば,学生時代の友人等と年末年始集まったりするのですが,今年は感染予防のため家で過ごす予定です。

紅白でもみながらゆっくりとした年末を過ごしたいと思います。

 

来年は,1月4日から仕事始めの予定です。

年明け以降に昨年のように緊急事態宣言が出されたりした場合,弁護士として依頼者の方から請けている交通事故案件の進行に影響が出る可能性もあり,新型コロナのニュースをみていると暗い気持ちになりますが,年末年始で英気を養いたいと思います。

また,年明けから頑張ります。

内部研修

先日,事務所内で交通事故に関する内部研修がありました。

今回の内部研修では,専門的なテーマを深掘りするというよりは,交通事故案件を担当している弁護士が知っておかなければならない基礎的な部分を再度学び直すような内容でした。

 

改めて交通事故を扱う上で大切な基礎的な部分についての研修を受けると,初心に立ち返ることができ良かったです。

交通事故に遭われた被害者の方の代理人として活動するにあたり,一番大切なことは,「事件の解決でも高い賠償金を獲得することでもない」「依頼者の満足」であり,手段と目的を取り違えないように注意する必要があるとの話を研修で聞き,最近の自分は「依頼者の満足」がどこにあるか丁寧に考えられていただろうかとハッとさせられました。

弁護士の実現すべきことは,交通事故被害者の方に適切な賠償金を受け取っていただけるよう尽力し,交通事故被害者の方の無念さや被った損害を回復する手助けをして,交通事故被害者の方に弁護士に依頼して良かったと思っていただくことです。

「依頼者の満足」を実現するための手段ばかりに気を取られ,交通事故被害者の方の気持ちに寄り添うことを疎かにしないよう,常に初心を大切にしていきたいと思いを新たにしました。

 

専門的な内容を深掘りする研修も面白いですが,今回の研修では,基礎的な部分を学ぶ研修を定期的に受ける良さを実感しました。

交通事故と労災②

最高裁平成30年9月27日判決(判例タイムズ1458号100頁)において,自賠法16条1項に基づく直接請求権を行使する被害者は,被害者が労災保険給付を受けてもなお補填されない損害について,労災保険法12条4項1項により移転した直接請求権を行使する国に優先するとの判断が示されました。

上記判断により,交通事故の被害者は労災保険から120万円を超える治療費などの給付を受けていたとしても自賠法16条1項に基づく直接請求権を行使して,慰謝料などを支払いを国に優先して受けられることが明らかにされました。

そのことにより,加害者側が任意保険に加入していない場合などに被害者が手厚く救済されることとなります。

また,被害者側にも過失があり,過失相殺後の裁判基準の慰謝料額が自賠責保険基準での慰謝料額を下回るような場合は,自賠法16条1項に基づく直接請求権が国に優先することで被害者側が受け取れる慰謝料額が増えるケースがあります。

交通事故に遭ってしまったとき自身にも過失がある場合は,やはり労災保険を利用できる場合は,利用した方が良いケースが多いと考えています。

労災保険を利用しているか否かで,最終的に受け取れる慰謝料などの額が変わる可能性があります。

弁護士としても交通事故に遭われた方にしっかりと情報提供できるようしっかりと情報を得ていきたいと思います。

後遺障害逸失利益の定期金賠償

最高裁令和2年7月9日判決において,従来の裁判例でも比較的,定期金賠償の方法が認められてきていた将来介護費用に加えて後遺障害逸失利益についても定期金賠償の方法が認められました。

 

最高裁令和2年7月9日判決は,被害者が後遺障害逸失利益について定期金賠償の方法を求めており,被害の原状回復と損害の公平な分担という不法行為に基づく損害賠償制度の目的及び理念に照らして「相当」と認められるときは、同逸失利益は、定期金による賠償の対象となるものと解されるとしています。

ただ,どのような場合に「相当」といえるかは本最高裁判決では明らかにされているとはいえません。

本最高裁判決の原審である札幌高裁平成30年6月29日判決は,個々の事案において定期金賠償を認めることが相当といえるかは,①被害者の年齢や後遺障害の性質や程度,介護状況などに照らし,後遺障害逸失利益については将来の事情変動の可能性が比較的高いといえるか否か,②被害者側が定期金賠償によることを求めており,その求めが,後遺障害や賃金水準の変化への対応可能性といった定期賠償の特質を踏まえた正当な理由によるものであると理解できるか否か,⓷将来の介護費用についても長期にわたる定期賠償が認められており,後遺障害逸失利益について定期賠償を認めても,加害者側において損害賠償債務の支払管理等において特に過重な負担にならないと考えられるか否かなどの事情を総合的に考慮して,定期金賠償を認める合理性があり,これを認めるのが相当といえるかで判断されるとしており,参考となります。

 

後遺障害逸失利益において定期金賠償の方法が認められると,一時金賠償ではなされる「中間利息控除」がなされなくなり,支払われる賠償金の総額が増えるとのメリットがあります。

他方で,判決後の事情の変化により場合によっては途中で賠償額を減額されたり(不利ばかりでなく有利に事情は変化することもあります),長い賠償期間中に加害者の支払い能力が不足したり,若年者の場合,就労可能年齢に達するまで定期賠償が受け取れなかったりするデメリットがあります。

 

交通事故に遭い,重度の後遺障害が生じた場合,後遺障害逸失利益を賠償金を一時金賠償の方法で受け取るのか,定期金賠償の方法で受け取るのか慎重な判断が必要となります。

弁護士として,定期金賠償の方法がどのような事案で「相当」といえるのかしっかりと検討していきたいと思います。

自賠責保険の支払い基準の改正

自賠責保険の支払い基準の改正がありました。

 

令和2年4月1日以降に発生した交通事故には,改正された自賠責保険の支払い基準に基づいて保険金が支払われます。

主に改正された点としては,

⑴ ライプニッツ係数の変更

民法改正に伴い法定利率が5%から3%変更されたことによりライプニッツ係数が変更されました。

⑵ 入院慰謝料の増額

4200円/日から4300円/日に増額されました。

⑶ 休業損害の増額

5700円/日から6100円/日に増額されました。

⑷ 入院看護料・通院看護料の増額

⑸ 死亡慰謝料の増額

⑹ 葬儀費用の増額

⑺ 後遺障害慰謝料の増額 などです。

 

上記のように自賠責保険支払基準が全体的に増額されました。

ただ,自賠責保険から支払われる保険金の限度額が増額されたわけではありません。

傷害による損害の限度額は120万円のままです。

 

令和2年4月1日以降に発生した交通事故は,自賠責保険の支払基準がそれ以前に発生した交通事故と異なるため,自賠責保険からいくら支払われるのか検討する際は,注意が必要となります。

弁護士として,交通事故が発生した日により,支払基準が異なることを見落とさないよう注意していきたいと思います。

 

交通事故とインプラント治療

交通事故に遭ったことで,歯を失ってしまうことがあります。

歯を失ってしまった場合に考えられる治療方法としては,①義歯,②ブリッジ,③インプラントがあります。

この中で,インプラント治療は比較的高額となるため,その治療方法の選択が適当なのかが争われ,場合によっては,インプラントの治療費について賠償を受けられないことがあります。

 

どの治療方法が適当かを判断する要素としては,①咬合能力,②審美性,③長期安定性,④治療によるリスクを総合的に勘案して判断されます。

例えば,前歯を失い,歯槽骨などが委縮している場合,単純な義歯では審美性の回復が得られず,咬合能力の回復も得られない可能性があります。

ブリッジでは,治療の際に欠損した歯の両隣の歯を削る必要があるところ,両隣の歯が健康な歯である場合,その歯の寿命を縮めることになる可能性があります。

インプラントは咬合能力などの面で優れている一方,手術の際に神経や血管を損傷するリスクや歯槽骨の状態によってはインプラントの安定を得られない可能性があります。

 

どの治療方法もメリットとデメリットがあるため,交通事故により,歯を失ってしまった場合,どのような治療方法が適当なのかは,審美性,咬合力などの観点から,しっかりと検討する必要があります。

そして,治療費について,賠償を得るためには,医師がなぜその治療方法を勧めるのか,しっかりと把握しておくことが重要となります。

 

 

 

弁護士法人心は,新たに「弁護士法人心 千葉法律事務所」を開設しました。

12カ所目の事務所開設となります。

千葉県の方で,交通事故でお困りの方は,ぜひ,お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

「あおり運転」厳罰化

朝から,本日より,「あおり運転」が厳罰化されるとの話題がニュースでとりあげられていました。

社会的に「あおり運転」が問題となっていることを踏まえて,道路交通法の改正が行われ,本日から施行されます。

そこで,具体的にどのような法改正がなされたのか確認してみました。

今回の道路交通法の改正で以下の運転行為に対する罰則が創設されたようです。

1 通行妨害目的で,交通危険のおそれのある方法により一定の違反をした場合,懲役3年または罰金50万円以下

一定の違反行為とは以下の行為になります。

⑴ 車間距離不保持

⑵ 進路の変更の禁止の規定に違反する行為

⑶ 追い越しの方法の規定に違反する行為

⑷ 車両等の点灯の規定に違反する行為

⑸ 安全運転の義務に違反する行為

⑹ 最低速度の規定に違反する行為

⑺ 停車及び駐車の規定に違反する行為

⑻ 警音器の使用等の規定に違反する行為

⑼ 通行区分の規定に違反する行為

⑽ 急ブレーキ禁止の規定に違反する行為

2 上記行為によって,高速等において,他の自動車を停止させ,その他道路における著しい交通の危険を生じさせた場合,懲役5年又は罰金100万円以下

3 上記1及び2の行為が免許の取り消し処分の対象として追加(1の場合は欠格期間2年,3の場合は欠格期間3年)

 

自動車は,移動手段として欠かせない反面,人の命を奪う凶器であることを自動車を運転する人全てが本当の意味で理解し,「あおり運転」が無くなればと思います。

 

話は変わりますが,弁護士法人心は,新たに四日市にも事務所を出しました。

四日市在住の方は,ぜひ弁護士法人心四日市法律事務所をご利用ください。

 

家事従事者の基礎収入の計算方法

家事従事者の休業損害や後遺障害逸失利益を算定する際に,家事従事者の収入は,賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,女性労働者の全年齢平均の賃金額を基礎とします。

 

上記賃金センサスに基づく賃金額は,以下のような方法で算定できます。

厚生労働省発表の「賃金構造基本統計調査」をインターネットで検索し,そのなかの「一般労働者」の「産業大分類」を選択し,そのなかの「年齢階級別決まって支給する現金給与額,所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」「産業計・産業別」のファイルを見ます。

開いたファイルの「企業規模計(10人以上)」の欄で女性全年齢の数値を確認し,「決まって支給する現金給与額」×12か月+「年間賞与その他特別給与額」で計算していただければ,賃金センサス第1巻第1表の産業計,企業規模計,学歴計,女性労働者の全年齢平均の賃金額になります。

例えば,平成27年度の数値を当てはめると,25万9600円×12カ月+61万1900円=372万7100円となります。

 

なお,日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準(赤い本)」には,上記計算後の賃金額が掲載されているため,上記の計算をせずとも金額を確認することが可能です。

家事従事者(主婦)でも,交通事故による怪我によって家事ができなかった場合には,休業損害が認められます。

家事従事者としての休業損害額が適切なのか気になる方は,お気軽に弁護士にご相談ください。

新型コロナ2

もうすぐGWですね。

毎年,GWは地元に帰省することが多いのですが,今年は新型コロナの感染拡大を防ぐため帰省はとりやめました。

新型コロナが終息したタイミングで地元には帰省したいと考えています。

ただ,なかなか新規感染者数は減らないですね。

自粛の効果が現われ,お盆の頃には新型コロナも落ち着くといいのですが・・・

 

新型コロナにより,弁護士の業務にも様々な影響が生じています。

緊急事態宣言を受けて,5月半ば頃までの裁判の期日などが取り消されました。

そして,愛知弁護士会等の業務も縮小され,弁護士の職印の印鑑登録証明書発行の受付などが休止されたことで,職印の印鑑登録証明書が新たに入手できないや23条照会の手続きに普段よりも時間を要するといった影響が生じています。

また,法律相談なども直接会っての面談は極力避け,可能な限り電話で行えるようにしています。

 

微力ではありますが,少しでも早い新型コロナの終息のため,不要不急な外出を減らし,マスク着用,手洗いの徹底を引き続き心がけていきたいと思います。

最近暖かくなってきたこともあり行楽地に出かけたいと思うこともありますが,しばらくはSTAY HOMEを楽しみたいと思います。

新型コロナ対策

新型コロナの流行は終息の方向に向かうことなく,反対に感染者数が増加しており不安ですね。

一刻も早く終息の方向に向かうと良いのですが・・・

 

弁護士法人心でも以下のような新型コロナに対する対策をとっております。

1 相談室内や執務スペース内に消毒液を設置し,手などの消毒をこまめに行えるようにしています。

2 執務スペースなどの窓は可能な限り開けるようにし,換気に努めています。

3 複数人で集まる際は,マスクの着用を徹底しています。

事務所内での会議でもテレビ会議システムなどを活用し,複数人で集まる機会自体を減らす工夫はしていますが,やむを得なく複数人で集まる場合は,マスクの着用を徹底しています。

また,相談に来られた方の相談に乗らせていただく際もマスクの着用をさせていただいております。

ただ,マスクがなかなか売っておらず,新型コロナが流行する前のように容易に入手できないのが難しいですね。

4 弁護士はなかなか難しいのですが,体調が悪い場合は,積極的に休みをとるようにとの通知を事務所全体に流しています。

 

一人一人が新型コロナの感染拡大を防ぐとの自覚を持つことで,少しでも早く新型コロナの流行が終息に向かえばと思っています。

新型コロナ

新型コロナの感染が拡大していますね。

名古屋を含め全国で感染者が増加しており,不安ですね。

 

日々ニュースでは,感染者の増加に加え,マスクや消毒液等の不足を報道しており,実際にドラックストア等でもマスクを購入することが難しい状況となっています。

このような状況下で,手元のマスクが無くなり,かつ,風邪を引いてしまったような場合を考えると不安を感じます。

 

風邪気味の場合には,一人暮らしであれば,ずっと家に居られればマスクがなくとも問題はあまりないのかもしれませんが,

通院や日用品の購入のためにどうしても外出が必要なこともあります。

そのようなときには,周りに病気をうつさないためにマスクは必要です。

マスクの増産が進められているようですので,早くマスクの需要に供給が追いつけばよいのですが・・・

 

先日,裁判所に出廷したとき,その場にいた裁判官や弁護士など全員マスクを付けていました。

法廷のような密閉された空間に複数の人間が集まる場合にも,マスクの着用が感染の予防には重要なのかもしれませんね。

新型コロナについて,変に心配しすぎるのも良くないのかもしれませんが,感染者の急激な増加を防ぐために一人一人ができることを小さなことからでも行うことが重要だと感じました。

 

 

肺損傷と後遺障害(労働能力喪失率)

明けましておめでとうございます。

今年も交通事故に遭われた被害者の方の力に少しでもなれるよう日々邁進したいと思います。

 

今回は,交通事故で肺を損傷してしまった場合について書きたいと思います。

 

交通事故に遭い胸部に外力が加わると肺を損傷(外傷性肺内血種,肺裂傷,肺挫傷等)することがあります。

肺を損傷すると血痰,胸部痛,呼吸困難などの症状が現れます。

肺の損傷は,胸部レントゲンや胸部CTによる画像検査で診断でき,肺が損傷している場合の治療方法としては,肺の損傷の程度により,①安静にして横になっている,②酸素吸入,③肺理学療法,④人工呼吸器による呼吸管理,⑤人工肺(ECMO)といったものがあります。

 

肺の損傷の程度によっては,呼吸機能の障害が残ってしまうことがあります。

呼吸器に障害が残ってしまった場合には,残っている症状について後遺障害等級認定の申請を行うことになりますが,呼吸機能の障害に対して認定される等級の種類は,呼吸機能の障害の程度により決まります。

そのため,呼吸機能の障害の程度に照らした,適切な後遺障害等級の認定を受けるためには,適切な検査を受け呼吸障害の程度を明らかにすることが重要になります。

 

労災補償障害認定必携は,呼吸機能に障害を残したものの等級は,①原則としいて,安静時の動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧との検査結果の組み合わせにより判定するが,②その等級がスパイロメトリーの結果と呼吸困難の程度により判定される等級より低いときは,スパイロメトリーの結果と呼吸困難の程度により判定される等級により認定するとしています。加えて,③安静時の検査結果による判定では等級に該当しない場合でも,運動負荷試験の結果から明らかに呼吸機能に障害があると認められものについては等級を認定するとしています。

そのため,呼吸機能の障害について適切な等級の判断を得るためには,①動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧検査,②スパイロメトリー検査,③運動負荷試験を適切に受けておくことが重要になります。

 

交通事故により肺を損傷したことで,呼吸機能に関する症状がある方は,早めに弁護士に一度相談していただくと良いと思います。

 

脊柱変形と後遺障害逸失利益

脊柱の障害については後遺障害別等級表上,変形障害と機能障害について等級が定められています。

今回は,脊柱の変形障害と後遺障害逸失利益の問題について少し詳しく記載したいと思います。

 

1 脊柱変形の後遺障害等級の種類と認定基準

脊柱変形の後遺障害は,以下の3段階で認定されています。

脊柱に著しい変形を残すもの 6級

脊柱に中程度の変形を残すもの 8級

脊柱に変形を残すもの 11級

圧迫骨折等による脊柱変形障害が上記3段階のどの段階に該当するかは「労災補償障害認定必携」に掲載されている認定基準に従い判断されています。

 

2 後遺障害等級認定の対象となる脊柱

解剖学上,脊柱は,頸椎,胸椎,腰椎,仙骨及び尾椎から構成されています。

ただ,後遺障害等級表上の脊柱とは,「頸部及び体幹の支持機能ないし保持機能及び運動機能に着目したものであることから,これらの機能を有していない仙骨及び尾骨については,「せき柱」には含まない」とされています(「労災補償障害認定必携・第16版・234頁参照)。

 

3 脊柱変形で後遺障害逸失利益が問題となる理由

脊柱変形の後遺障害は運動機能への障害を伴っていないため労働能力喪失率が後遺障害別等級表の目安労働能力喪失率よりも低くなると主張されることがあります。

しかしながら,このような主張は適切ではないと考えています。

後遺障害別等級表上の脊柱は,上記したように頸部及び体幹の支持機能ないし保持技能及び運動機能に着目したもとのされています。

したがって,脊柱変形の後遺障害においては,頸部及び体幹の支持機能ないし保持機能及び運動機能の減少があると考えられます。

そのことにより,疼痛や疲れやすくなったりなどの症状が生じるといえます。

そのため,脊柱変形の後遺障害でも労働能力は失われており,変形障害であることのみを理由に労働能力喪失率を低く判断することは定説でないと考えます。

脊柱変形の後遺障害では,その障害によりどのような労働能力の低下があり,仕事への影響があるのかを丁寧に主張する必要があります。

弁護士として労働能力喪失率が争われた場合はしっかりとした反論を行っていきたいと思います。

名古屋で後遺障害について弁護士をお探しの方はこちらをご覧ください。