肺損傷と後遺障害(労働能力喪失率)

明けましておめでとうございます。

今年も交通事故に遭われた被害者の方の力に少しでもなれるよう日々邁進したいと思います。

 

今回は,交通事故で肺を損傷してしまった場合について書きたいと思います。

 

交通事故に遭い胸部に外力が加わると肺を損傷(外傷性肺内血種,肺裂傷,肺挫傷等)することがあります。

肺を損傷すると血痰,胸部痛,呼吸困難などの症状が現れます。

肺の損傷は,胸部レントゲンや胸部CTによる画像検査で診断でき,肺が損傷している場合の治療方法としては,肺の損傷の程度により,①安静にして横になっている,②酸素吸入,③肺理学療法,④人工呼吸器による呼吸管理,⑤人工肺(ECMO)といったものがあります。

 

肺の損傷の程度によっては,呼吸機能の障害が残ってしまうことがあります。

呼吸器に障害が残ってしまった場合には,残っている症状について後遺障害等級認定の申請を行うことになりますが,呼吸機能の障害に対して認定される等級の種類は,呼吸機能の障害の程度により決まります。

そのため,呼吸機能の障害の程度に照らした,適切な後遺障害等級の認定を受けるためには,適切な検査を受け呼吸障害の程度を明らかにすることが重要になります。

 

労災補償障害認定必携は,呼吸機能に障害を残したものの等級は,①原則としいて,安静時の動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧との検査結果の組み合わせにより判定するが,②その等級がスパイロメトリーの結果と呼吸困難の程度により判定される等級より低いときは,スパイロメトリーの結果と呼吸困難の程度により判定される等級により認定するとしています。加えて,③安静時の検査結果による判定では等級に該当しない場合でも,運動負荷試験の結果から明らかに呼吸機能に障害があると認められものについては等級を認定するとしています。

そのため,呼吸機能の障害について適切な等級の判断を得るためには,①動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧検査,②スパイロメトリー検査,③運動負荷試験を適切に受けておくことが重要になります。

 

交通事故により肺を損傷したことで,呼吸機能に関する症状がある方は,早めに弁護士に一度相談していただくと良いと思います。