等級認定と介護費用(高次脳機能障害)

自賠責保険の後遺障害等級表では,高次脳機能障害の介護の程度により等級を分類しており,別表1第1級は「常に介護を要するもの」,別表1第2級は「随時介護を要するもの」,第3級は「声掛けや,介助なしでも日常の動作を行える。」としています。

そのため,3級以下の後遺障害等級認定で将来の介護費用が損害として認められるのかが争点となる場合があります。

 

この点,上記分類に関わらず,3級障害以下の将来の介護費用が認定されるケースが多々見られます。

その理由について,少し古い本ですが「高次脳機能障害と損害賠償ー札幌高裁判決の開設と軽度外傷性脳損傷(MTBI)について」という本に興味深い記載がありました。

当該本では,以前の日本社会では,「患者以外にも誰かしらの家族が家の中に居て,常に一緒に居られる環境が存在した。もし家の中で患者に何か起きた場合,家族が直ぐに対処できた。」「このように,」「自宅外の一般労務はできなくとも,日常生活に介護までは必要としない」という3級の定義が存在したが,現在の日本では,核家族化が進み監視や声掛けを行う者が将来においても必要となるとして3級障害以下の将来の看護費用を認めるケースが出てきたとしています。。

 

「介護」「監視」「声掛け」をどのように損害として評価するのかは難しい問題ですが,3級障害以下の場合でも将来の介護費用は認められることを意識することは重要です。

高次脳機能障害の方の具体的な症状や生活状況に照らし,「介護」「監視」「声掛け」がどの程度必要なのかを個別具体的に主張立証することが弁護士としては重要となると思います。

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