後遺障害逸失利益

交通事故により負った怪我が治りきらず症状が残ってしまう場合,自賠責で後遺障害等級認定を受けられることがあります。

自賠責で後遺障害等級が認定されると,交通事故の相手方に対する後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の請求が認められやすくなります。

後遺障害逸失利益とは,後遺障害がなければ将来にわたって得られたであろう利益をいいます。

 

 

一般的に後遺障害逸失利益を計算する場合には,基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数

という計算式が用いられています。

 

基礎収入は,原則として事故前の現実収入が基礎となります。

ただ,後遺障害逸失利益は,将来にわったて得られたであろう利益を問題とするため,将来,現実収入額以上の収入を得られる立証があれば,その金額を基礎収入とすることもできます。

労働能力喪失率については,認定された後遺障害等級によりある程度基礎となる率が決まっています。

例えば,後遺障害等級12級が認定された場合には,労働能力喪失率は14%が一応の目安となります。

 

 

なお,自賠責保険で後遺障害等級が認定されたとしても,必ず後遺障害逸失利益が認定されるわけではありません。

実際には症状が残ったことに起因する減収がない場合や,具体的事情から労働能力が失われていない場合は,後遺障害逸失利益が否定される場合もあります。

千葉地裁平成28年5月17日判決は,自賠責で右足関節機能障害に関し後遺障害等級12級が認定されていた男性について,出張先等にもロードバイクを持参しトレーニングを積んでいたことをもって,継続的に運動をこなしている状況をみると関節痛のために十分に仕事ができないとか,将来にわたり仕事が長続きしないとかの事実は認められないとして行為障害逸失利益を否定しています。

 

弁護士として,後遺障害逸失利益が生じているか案件ごとに丁寧な検討を心がけたいです。

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