個人事業主の休業損害と逸失利益

先日,事務所内で交通事故に関する研修がありました。

今回の研修では,発表担当弁護士が,個人事業主の休業損害と逸失利益をどのように把握するかについて発表をしました。

(弁護士法人心では定期的に各分野を取り扱う弁護士ごとに集まり研修を行っています)

 

個人事業主の休業損害や逸失利益は,原則として,確定申告書に基づき算定されます。

確定申告書には,個人事業主の方の所得が全て反映されているはずであるからです。

 

しかしながら,様々な理由から申告していない所得がある場合があります。

このような場合,確定申告書に基づき休業損害や逸失利益を算定したのでは,個人事業主の方に実際に生じた損害を把握できていないことになります。

そのため,個人事業主の方としては,当然,確定申告書に基づいてではなく,実際の所得に基づき休業損害や逸失利益を賠償してもらいたいと考えられる方もおられます。

 

確定申告書記載の所得以上の所得があったと認定されるためには,所得があったことを裏付ける資料が必要となります。

また,単に裏付ける資料があるだけでは足りず,その資料が信用性がある認められるものであることが必要となります。

 

裁判例の中には,確定申告書記載の所得以上の所得を認定したものもありますが,所得があれば申告することが原則のため,確定申告書記載以上の所得があったと簡単には認定されません。

 

今回の研修では,確定申告外の所得を認めた裁判例の発表があり,どのような資料がある場合に確定申告外の所得が認定されるのかの参考にでき,良かったです。

交通事故による休業損害については,こちらもご覧ください。