後遺症と後遺障害

弁護士として多くの交通事故の相談に乗る中で,「医師に後遺症は残るだろうと説明を受けたので,申請すれば後遺障害の認定を受けられますよね。」という質問を受けることがあります。
この質問に対しては,「事故対応や通院状況,怪我の程度を確認しないと後遺障害の認定を受けられるかは,わかりませんと。」としか答えられません。

 

なぜ,医師に後遺症が残ると説明されたのに後遺障害の認定を受けられる可能性が高いと言えないのか疑問に思われる方も多いと思います。
これは,後遺症と後遺障害の定義が異なるからです。

 

 

まず,後遺症は,交通事故によって負った傷害が完全に回復せずに身体等に残った機能障害等の症状を意味します。

 

一方,後遺障害は,交通事故によって負った傷害が完全に回復せずに身体等に残った機能障害等について交通事故との関連性や整合性が認められ,その機能障害等の存在が医学的に証明または説明できるものであり,労働能力の低下が伴い,その程度が自賠責施行令の等級に該当するものを意味します。

 

このように後遺症と後遺障害の定義が異なることから,後遺症が残るとの説明を受けたからと言って,後遺障害の等級の認定を受けられるとは限りません。
後遺障害等級の認定を受けるためには,残ってしまった機能障害等について交通事故との関連性や整合性等が必要になります。
そのため,医師の後遺症が残るとの説明からだけでは,「では,後遺障害の認定を受けられる可能性が高いですね。」と答えられないのです。

後遺障害に関して弁護士をお探しの方は,弁護士法人心にご相談ください。