法律の国外での適用について

このブログを読まれている方は,多くが日本に住む方だと思います。

日本では,当然日本の法律が適用され,法律といえば,日本の国会で制定された法律のことを指しています。

当然,アメリカに行けばアメリカの法律(州法)が適用されます。

 

では,日本とアメリカの間,例えば飛行機の中はどうだと思いますか。

話を分かりやすくするために,飛行機の中で人を殴ってけがをさせた傷害事件が起きた場合を考えてみましょう。

この場合,日本とアメリカのどちらの法律が適用されるでしょうか。

 

この点について,まずは,どの国で裁判を行うかとどの国の法律で裁くかを分ける必要があります。

まず,裁判を行うことが出来る国についてですが,この点については,

航空機内で行なわれた犯罪その他ある種の行為に関する条約

が定めています。

 

具体的な内容としては,一言でいうと,飛行機が離陸のために作動したときから着陸の滑走が停止するまでの間については,当該航空機が登録された国が裁判を行うこととなっています。

日本からアメリカへの飛行機であっても,全日空なら日本の裁判所で裁判し,デルタ航空ならアメリカの裁判所で裁判します。

1条2項

この条約は、第3章の場合を除くほか、締結国において登録された航空機内の者により当該航空機の飛行中に又は当該航空機が公海の水上若しくはいずれの国の領域にも属しない地域の地上にある間に行なわれた犯罪又は行為につき、適用する。

3条1項

航空機の登録国は、当該航空機内で行なわれた犯罪及び行為について裁判権を行使する権限を有する。

 

では,日本の裁判所で判断するとして,どの国の法律が適用されるでしょうか。

ご想像のとおり,当然日本の法律が適用されるのですが,例えばJFK空港から日本に向けて離陸中であっても,日本の法律が適用されることとなるのは,直感に反するのではないでしょうか。

この点については,日本の刑法が,日本に登録された航空機内の犯罪については日本の刑法で裁くとの規定があります。

 

第一条

1項 この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
2項 日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。

 

簡単に提示すると,以下のとおりとなります。

航空機内の犯罪→航空機の登録国で裁判する。→その国の刑法が適用されるか,その国で犯罪になるかを考える。

 

旅行ガイドブック等を見ると,一言で片づけられる内容ですが,弁護士の目から見ると実は非常に複雑な法律の規定があります。