信託の歴史 信託法と契約法

最近,信託がブームになっています。

相続対策や,高齢者の方の資産の管理等,様々な活用が見込まれており,弁護士や司法書士がたくさん本を出版しています。

そこで,信託の歴史について調べてみました。

 

日本では,信託は,契約法の一種(信託契約)として定められていますが,実は,その発祥は,契約法がきちんと整備される前とのことです。

 

信託は,14世紀ごろ,封建社会であったイギリスで発明されました。

封建社会で,領主から領地を任された領民が,領主からの重い義務を免れるため,領民が(委託者)領地を信頼できる受託者へ名義変更し(受託者),領民だった者がその利用を続ける(受益者)ことで,土地の所有者でなくなった領民だった者は重い義務を逃れていたようです。

封建制が弱体化し,領主の権限が弱まっていた時期であったため,このような簡便な方法で,領民は様々な義務を免れることが出来たようです。

 

しかし,当然想定される内容ですが,名義変更を受けた受託者が,受益者の意に反して領地を自分のものとして利用するという問題が生じたようです。

これについて,イギリスの大法官は,コモンロー上(法律上)は名義人である受託者が権利者であるとしながら,エクイティ(衡平)の観点から,委託者から信頼されてそれを引き受けたにもかかわらず,これを裏切った受託者に問題があると判断したようです。

 

この考え方が現在の信託における,信託により委託者の財産の名義は受託者のものとなるが,受託者は受益者のために財産管理を行うという基礎となったようです。

 

上記経緯より,信託は,信頼に対して誠実に応えるという考え方がもととなっており,契約法が整う前に信託法が整ったようです。

契約をベースとする日本の民法を学んだ私は,うまくイメージできない状態です。

 

現在の制度について検討するのも大切ですが,歴史的経緯を踏まえると,より一層理解が深まります。

 

なお,信託の歴史についての記載は,「入門 信託と信託法」(樋口範雄 弘文堂)の記載を参考にしています。

 

合理的意思決定とゴミ箱モデル

皆様は,何をするか決める=意思決定するとき,どのように考えて決めていますか。

 

伝統的に,経済学では,合理的な個人を想定した上で議論を進めることが多くありました。

しかし,実際には,色々とよく考えてから決めることもあると思いますが,思い付いたことをそのまま実行したり,これまでこれをしていたから今日もするということもあると思います。

実際には,すべてのことをよく考えて決めようとするのは,これを処理するコストを考えると不合理であり,単純な意思決定や,より高度な意思決定であっても,深く考えることなく=非合理に決めることもあるのではないでしょうか。

 

自分はすべてのことをきちんと考えているという人がいたとしたら,たとえば今日食べたランチを思い出してください。

ランチを食べるにあたり,考えうるすべての選択肢をあげた上で,自分が今日朝食べたものや昨日食べたものを考慮し,今月末までのランチに使える予算制約や,ランチにかける時間とその他にかける時間等を考慮したうえで,十分に検討して今日はコンビニの鮭おにぎりで済ませるという選択はしていないと思います。

 

その時の状況や気分を踏まえ,いくつか思いついた中から直感で決めていませんか。

 

このことは,実は会社(組織)であっても変わらないのではないかという考え方があります。

そのようなことを説明する一つのモデルが,ごみ箱モデルです。

 

私が理解する内容のイメージは以下のとおりです(正確な理解は専門書を参照ください)。

何かを決定するとき(選択機会)があり,それを決めるのに関与する人(参加者)がいて,

考え方やアイデア(解)があり,少なくともこれだけは考慮すべきこと(問題)がある状況を想定します。

意思決定は,上記4つが独立であり,それらが出会ったときに(あたかも,上記の4つが適当にゴミ箱になげこまれたときに)される,というものです。

人は,色々な課題に直面し,これを解決する考え方やアイデアを探す,というように一般には考えられていますが,実際には決定はそれほど思慮されることなくなされたり,時間に追われる中で一応の結論がなされたり,先にアイデアがあって問題が見つかるといったことも多いのではないか,というのが上記モデルの理解です。

 

私たち弁護士の仕事は,上記モデルではなく,問題があり,これを法律上の観点から解釈し,解決策を探し,決定することです。

その仕事に価値があるのは,むしろ,人はそれほど合理的ではないからかもしれません。

そのようなことを,考えてみました。

 

 

 

 

 

判決言い渡しと民事,刑事の違い

判決文未完のまま言い渡し 岐阜地裁裁判官、懲戒へ」(日本経済新聞)

岐阜地裁の裁判官が,懲戒される可能性があるようです。

内容としては,本来判決書の原本が完成した状態で判決言い渡しをしなければいけないにもかかわらず,忙しかったために,原本ができる前に言い渡しをしてしまったとのことです。

 

民事の裁判は,民事訴訟法においては,判決は,判決書の原本に基づいてすることとされています(民事訴訟法252条)。

そのため,判決書の下書きを利用して判決することは,同条に違反し違法な判決となります。

 

これに対して,刑事の裁判は,刑事訴訟法においては,判決は,宣告によりこれを告知するとされています(刑事訴訟法342条)。

そのため,判決の下書きで判決を告知しても,違法にはなりません。

実際,判決書は必ずしも判決宣告時に作成されていることを要しないと判断されています(最判昭25.11.17)。

 

上記の裁判官も,刑事事件であれば判決書がなくても懲戒されることはなかったでしょう。

恋愛感情その他の好意の感情

以前,恋愛についてブログを記載し,その際に恋愛感情の定義が気になる旨を述べました。

 

そこで,恋愛感情その他の好意の感情についてまじめに論じた裁判例はないかを調べてみました。

 

結果として,東京高等裁判所で,構成要件としての明確性という観点で問題になった裁判例を発見しました!

ちなみに,構成要件としての明確性とは,かみ砕いて言うと法律で曖昧な内容を定めて,これを刑罰で罰しようとすると,何をしてよくて何をしてはいけないかはっきりとわからず,運用が恣意的になるなど問題があるから,一般の人が法律をよんだときに,何をしてはいけないかわかるぐらい明確にしないとだめです,ということです。

 

本件の判決文は,弁護士の主張に対して裁判所が回答する形で書かれているため,まずはこれをわかりやすく対応する形で抜粋して引用します。

そのうえで,判決文独特のわかりにくさを避けるため,これを私が意訳した文書を追記します。意訳のため,若干荒々しい内容となるのはご容赦ください。

 

 

東京高等裁判所平成29年(う)第867号

弁護士 『「好意の感情」などというものは、人間の内心の心理状態というそもそも曖昧な概念の中でも、とりわけその外縁を画することが困難な概念であって、このような概念を刑罰法規の要件に掲げること自体不適当である』

裁判官『「好意の感情」とは、一般的には好きな気持ち、親愛感のことをいうと解されるが、ストーカー規制法においては、その構成要件上、「好意の感情」等を充足する目的が必要とされているから、本件規定違反の犯罪が成立するためには、単に一般的に好ましいと思う感情だけではなく、相手方がそれにこたえて何らかの行動をとってくれることを望むという意味での「好意の感情」があり、かつ、それを充足する目的が存在すると認められる必要があると解される。この意味における「好意の感情」は、上記の判断基準に照らしても明確である…』

中村による意訳

弁護士『「好意の感情」なんて,人の気持ちの問題であいまいで,何が行為の感情かはっきりとはわからないのだから,これをもとに罰するのはおかしい』

裁判官『「好意の感情」とは,一般的には好きな気持ち,親愛感のことを言います。

ストーカー規制法では,好きな気持ちなどを充足したいということまで必要なので,好きな気持ちに加えて,相手がそれにこたえてくれるという意味での「好意の感情」のことを言います。

そして,実際に相手を応えさせようという目的が必要です。このように考えれば,一般人が判断できるので問題ありません』

 

恋愛感情についてははっきり述べていませんが,好意の感情については,

①「好きな気持ち,親愛感」であり,

②「相手方がそれにこたえて何らかの行動をとってくれることを望む」ところまで必要ということです。

そして,恋愛感情は,「恋愛感情その他の好意の感情」として,好意の感情の例示となっていることから,上記①及び②に,さらに要件が加わるということになります。

 

 

契約条項における「ものとする」について

弁護士業務の中で,契約書のチェックをしていると,「…ものとする。」と記載している条項を見かけます。

契約書によっては,「…金10万円を支払う」との違いを意識せず,「…金10万円を支払うものとする」と記載していることもあります。

 

しかし,「ものとする」の意味について,意識して用いている場合は少ないのではないかと思います。

そこで,「ものとする」の意味について,調べてみました。

 

法令用語としての「ものとする」は,以下のとおりと解説されています(「する」「とする」「ものとする」「しなければならない」(衆議院法制局法制執務研究会 法学教室No.356 61ページ))

「ものとする」は,まず,①一定の義務付けを,後述する「しなければならない」よりも弱いニュアンスを持たせて規定しようとするとき,とりわけ行政機関に対して義務付けをしようとする場合に用いられます。そのほか,②物事の原則を示そうとするとき,③解釈上の疑義を避けるために,当然のことを念のため規定するものであることを表そうとするとき,更には,④ある事項に関する規定を他の類似する事項につてい当てはめる,いわゆる準用規定における読み替え規定においても用いられます。

 

④を除くと,①弱いニュアンスを持たせたり,②物事の原則を示したり,③当然のことを念のため規定したりするときに用いられることがわかります。

 

上記は,法令用語としての解釈ですが,同じことは契約書においても当てはまります。

 

冒頭であげた,「…金10万円を支払う」と,「…金10万円を支払うものとする」について,

「…金10万円を支払う」は,端的に義務を述べていますが,

「…金10万円を支払うものとする」は,上記①のとおり,弱いニュアンスとなるか,②物事の原則を示すこととなります。

では,毎月10万円を支払う契約の場合,この二つのどちらが適切でしょうか。

 

契約の内容により,考え方は分かれますが,一般論としては,弱いニュアンスだったり,物事の原則を定める条項ではなく,「…金10万円を支払う」と端的に義務として定めたほうが良いといえます。

 

逆に,誠実協議条項ではどうでしょうか。

「誠実に協議の上,これを解決する。」

「誠実に協議の上,これを解決するものとする。」

上記の例では,絶対に誠実に協議をして解決しなければならないという趣旨ではなく,できるだけ話し合いで解決しましょうという趣旨で条項が設けられているといえます。

この場合は,上記②物事の原則を示す条項といえるため,「誠実に協議の上,これを解決するものとする」との定め方のほうが良いといえます。

 

このように考えていくと,契約書では,義務を明確にしたい場合には,「…ものとする」を用いず端的に規定し,条項が抽象的だったり,原則を定める場合には,「…ものとする」を用いるのが良いといえるでしょう。

 

きちんと契約書を作成するときは,弁護士は一つ一つの表現に非常にこだわりますが,そのなかでも「…ものとする」は,きわめて気になる部分です。

 

ここからは余談となりますが,現在,インターネット上に,契約書のひな形が数多く見つかります。

この記事をご覧いただいた方の中にも,インターネット上の契約書のひな形を利用したことがある方はいらっしゃると思います。

しかし,法律の専門家でなければ,そのひな形が「良い」ひな形であるかの判断はつきづらいと思います。

そのときは,この記事を思い出し,「…ものとする」の使い方に着目してみてください。

明確に義務を定めるべき条項で「…ものとする」が用いられているのであれば,その契約書は「良い」ひな形ではないかもしれません。

 

名古屋で弁護士をお探しの方はこちら

トラックボールとマウスと弁護士

弁護士は,仕事柄,パソコンの前に座って入力していることが多く,業務効率化のために,パソコンの周辺機器にもこだわっている方が一定数います。

 

パソコンを利用される方は,カーソルを動かすためにマウスを使用されていると思います。

皆様は,マウスに代わるカーソルの移動のためのデバイス(周辺機器)として,トラックボールと呼ばれるものがあることを知っていますか?

(ウィキペディアのアドレスはこちら=https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB)

ボールが上についていて,ボールを回してカーソルを動かすデバイスです。

昔からパソコンを利用されている方に説明するなら,マウスのボールを上にしたものというと,イメージがつかめると思います。

最近パソコンを使い始めた方は,そもそもマウスにボールがついていたことを知らない方もいるのでしょうか。

 

このトラックボールですが,使用者は少数です。

通常のパソコンにマウスが付属しており,わざわざトラックボールを買う必要がないことや,以前はノートパソコンにトラックボールがついていたが,最近は薄くするためにタッチパネルなどが主流になったことがその理由のようです。

 

マウスに比べたトラックボールのメリットとしては,操作するにあたってトラックボール自体を(マウスのように)動かす必要がなく,場所を取らないこと,腕を動かしたりする必要がなく,手首や腕に負担がかからないこと,昔の光学式マウスは机の模様に反応し,カーソルが意図しない挙動をすることがありましたが,トラックボールはその心配がないことなどがあげられます。

ただし,指で動かす性質上,細かな移動は苦手で,ペイントソフトでまっすぐな線を引いたりすることは結構難しいです。

 

上の文章からご理解いただけるとおり,私は現在トラックボールを使用しています。

 

親指一本でカーソルを動かすのはとても便利ですし,業務の性質上細かなカーソルの移動を求められることは少ないので,不便を感じることはありません。

 

トラックボールは,マウス派に押され続け,名古屋駅にある家電量販店に見に行っても,その種類は多くありません。

私は,家ではこの商品を利用しています。この商品は,トラックボールの老舗ロジクールが発売しているもので,2010年に発売されたモデルを改良したものとなります。(商品のアドレスはこちら=https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB-M570t-LOGICOOL-%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/B00E19UYO8)

ロジクールのトラックボールは,この製品が出てからずっと新製品は出ていなかったようで,私も買い替えをしながらこの製品を使っていましたが,昨年とうとう新作のトラックボールが販売されました!

それが,MX-ERGOです。(商品のアドレスはこちら=https://www.logicool.co.jp/ja-jp/product/mx-ergo-wireless-trackball-mouse)

トラックボール派の評判も,比較的高いようです。

発売されたことは把握していましたが,価格が高いので躊躇しています。

今のトラックボールが壊れたら,これを購入したいと思います。

 

職場でも別のトラックボールを利用していますが,職場で利用する際の一番の問題は,

他の方が,用事があって私のパソコンを触ろうとするとき,トラックボールでうまくカーソルを動かせず,非常に苦労する点だと思います。

職場でトラックボールの利用を考えている方は,ご注意ください。

弁護士業務は,自分の席が決まっており,私の席で他の方が作業することは少ないので,大丈夫です。

AIと弁護士

昨今,人がこれまでやっていた仕事をAIが行う,さらに言えばAIが仕事を奪うという記事をよく見かけます。

弁護士業界は,比較的AIにより仕事を奪われない業界であるといわれています。

 

しかし,実際には,ニュースを見ると,そう安心していられないのかもしれません。

「残業代の相談に乗ってくれるチャットbot「AI弁護士 六法あいこの残業代相談」がLINE上で開始」

上記記事で紹介されているAIは,残業代についての相談を,LINEの自動回答で答えるもののようです。

 

また,

「AIを用いて法務の仕事をスマートに——弁護士起業家が立ち上げたLegalForceが8000万円を調達」

上記記事では,主に契約書のレビューを,AIが支援するようです。

 

いずれについても,私は使用してないのでどのようなものかはわかりませんが,もし非常に良い出来であれば,今後の弁護士業界の仕事の進め方は大きく変わり,コスト削減が進んでいくかもしれません。

 

弁護士業界は,民事訴訟法が,従前の紙ベース,郵送ベースでの手続きを前提としていることなどにより,IT化が非常に遅れている業界です。

 

今後,急速な速度でIT化やAI化が進んでいく可能性があり,弁護士もこれについていかなければ,IT,AIを駆使した業務効率化によるコスト削減によりあっという間に淘汰されてしまう恐れもあります。

 

常に新しい技術を導入し,効率化を高める方向で,業務を進めて行く必要がありそうです。

弁護士業務とスピルリナ

弁護士にとって,健康管理は死活問題です。

健康であればこそ,裁判所に行き,打ち合わせを行い,書面を作成することができるのであって,

健康管理は弁護士の最も大切な業務ということができるでしょう。

 

皆様はスピルリナをご存知でしょうか。

私は先日まで知りませんでした。

 

wikipediaによれば,

スピルリナ(Spirulina)は、藍藻綱ユレモ目の幅 5-8μm、長さ 300-500μm ほどの「らせん形」をした濃緑色の単細胞微細藻類。約30億年前に出現した原核生物の仲間で、現在でも熱帯地方の湖に自生し、フラミンゴは大地溝帯に点在する強いアルカリ性の湖に育つ種のものを主食としている。」

とのことで,現地の人の食料源として親しまれていたようです。

現在は,健康食品として,タブレット状にして食べたり,飲料に加工して飲んだりしているようです。

 

現地の方が実際にどのように食べていたかはわかりませんが,フランスの学者によれば以下のようです。

「フランスの P. Dangard らが、アフリカ中央部のチャド湖の東約50kmにある村の市場で、チャド湖で収穫されたスピルリナの乾燥物が「ダイエ」という名前で売られていることを、1940年に紹介し、世界の注目を集めた。1967年11月には、エチオピアで開かれた国際応用微生物会議で、「スピルリナはタンパク質が豊富であり、将来の食糧源として注目されるべきである」と報告された。」

 

とのことであり,乾燥した藻なので,海苔に近い感じなのでしょうか。

なら海苔を食べても健康になれそうです!

 

健康に効果があるかはわかりませんが,タンパク質が多くとれ栄養豊富なので,いいと思います。

 

ちなみに,健康食品については,現在,厚生労働省が規制を検討していますが,食品衛生法上は健康食品に対する規制はありません。

唯一,特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品、機能性表示食品に該当する場合には,効果,効用を記載できますが,一般に,肌にいいと言った表現は使われており,スピルリナも上記に該当せず,一般論として健康食品と流通していると思われます。

 

現在,食品衛生法を扱う業務はありませんが,今後,食料品のメーカー等が顧問先となった場合には,スピルリナの相談も来るかもしれません!

司法試験と民法親族編(親族法,相続法)

司法試験の受験科目には,当然民法が含まれています。

民法は,大きく財産編,親族編に分かれており,私の業務である相続や離婚は,親族編に含まれています。

司法試験の受験科目の中には,親続編が含まれているものの,論文問題での出題率が高くないことから,受験生は,十分に勉強せず,極端なケースでは,「捨てる」といった対応をされることもあり,受験科目の中では,不遇な扱いを受けることが有ります。

なお,手形小切手法も,同様の扱いを受けることが有ります。

 

しかし,実務においては,相談の内容の多くは離婚や相続,親族に関するものであり,親族編の知識は非常に重要となります。

しかも,親族編は,実は理論的に非常に難しい内容を多く含んでいます。

そのため,少し勉強した程度では,正確な理解は望めず,いざ弁護士業務を行うときに,不正確な処理をしてしまう結果となりかねません。

 

司法試験受験生や,修習生は,親族編の大切さを十分に理解し,時間をかけられるときに,じっくりと腰をすえて勉強することを強くおすすめします。

日本弁護士連合会と愛知県弁護士会

全ての弁護士は,日本弁護士連合会に所属すると同時に,単位会(弁護士法上の弁護士会)に所属することとなっています。

例えば私は,日本弁護士連合会と愛知県弁護士会の両方に所属しています。

 

日本弁護士連合会に所属することについては,

弁護士法47条が以下のとおり定めています。

第四十七条 弁護士、弁護士法人及び弁護士会は、当然、日本弁護士連合会の会員となる。

これに対し,弁護士会については,やや複雑な規程ぶりとなっており,

第八条 弁護士となるには、日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録されなければならない。
第九条 弁護士となるには、入会しようとする弁護士会を経て、日本弁護士連合会に登録の請求をしなければならない。
第三十六条 弁護士名簿に登録又は登録換を受けた者は、当然、入会しようとする弁護士会の会員となり、登録換を受けた場合には、これによつて旧所属弁護士会を退会するものとする。

つまり,弁護士となるには入会しようとする弁護士会を経て,日本弁護士連合会に登録の請求をし(9条),日本弁護士連合会に備えた弁護士名簿に登録される必要があること(8条),弁護士名簿に登録されると,当然に入会しようとする弁護士会の会員となります。

 

日本弁護士連合会という名前の響きから,愛知県弁護士会等の弁護士会は日本弁護士連合会の組織の一部のような印象を受けますが,法律上は独立の法人格を持つ組織であり,弁護士会は日本弁護士連合会の会員という立場になります。

 

歴史的には,単位会は戦前から存在しており,日本弁護士連合会は戦後にできた組織のようです。

 

 

クリスマスは祝日!?

本日はクリスマスですので,法律に関わるクリスマスの話題をします。

現在,クリスマスは祝日ではありませんが,戦前の昭和の時代は,クリスマスが祝日でした!

 

クリスマスが祝日といっても,クリスマスだから祝日だったわけではなく,大正天皇が崩御された日が12月25日だったことから,大正天皇祭という名目で祝日だったようです。

wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9#%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%83%BB%E8%A1%8C%E4%BA%8B)によれば,この頃に,クリスマスの習慣が普及したようです。

戦前の祝日を定めた,休日ニ関スル件の規定は,以下のとおりとなります。

休日ニ関スル件(昭和2年勅令第25号)

左ノ祭日及祝日ヲ休日トス

元始祭  一月三日
新年宴会  一月五日
紀元節  二月十一日
神武天皇祭  四月三日
天長節  四月二十九日
神嘗祭  十月十七日
明治節  十一月三日
新嘗祭  十一月二十三日
大正天皇祭  十二月二十五日
春季皇霊祭  春分日
秋季皇霊祭  秋分日

附 則

本令ハ公布ノ日ヨリ之ヲ施行ス

(引用元)http://www.geocities.jp/nakanolib/rei/rs02-25.htm

弁護士としても,クリスマスが祝日だったほうが嬉しいです。

民事調停を知っていますか?

友人に貸した20万円が返ってこない,ご近所さんと騒音で苦しんでいる,などといったお悩みで苦しんでいる方はいませんか。
弁護士に相談しようとしても弁護士費用が高くついてしまう, 弁護士にお願いするほど大げさな話ではないなどと考えた結果,結局泣き寝入りしてしまったりしませんか。

私がそのような相談を受けた際に,弁護士に依頼するとどうしても弁護士費用が高くかかってしまうなどの理由で,ご依頼を受けることが難しいときに,ご自身で行える手続きとしてご紹介しているのが民事調停の手続きです

民事調停とは裁判所で本人と相手方が,裁判所の調停委員に仲介してもらう形で話し合いを進めます。
事案の解決のため,中立公平な第三者として双方から事情を聞いた上で話をするため,当事者の間で話し合いをするよりスムーズに進むことが多くあります

 

あくまでも話し合いのための手続きですので,お互いが納得しない場合に裁判所が強制的に何かを決めるわけではないのですが,お悩みをそのまま放っておくよりも良い解決になるのではないでしょうか。

民事調停を裁判所に起こすためにかかる実費としては,裁判所に納める手数料と郵便切手だけですので,費用の面をあまり気にせずに利用することができます。

裁判所に申し立てをすると,裁判所が相手方に対し期日に来てくださいと呼び出しをしてくれ,相手方が裁判所の呼び出しに応じて出廷すると,裁判所で話し合いを行うこととなります。

 

弁護士に相談するとお金がかかるからといって躊躇している方は,泣き寝入りする前に,一度ご利用を検討してみてください。

裁判所が作成した「民事調停~トラブルのより良い解決に向けて取り組んでいます~」という民事調停を紹介したものもご確認ください。

 

尺貫法は禁止?

弁護士業務で,相続に絡んだ土地に関連する話をすることが多くあります。

 

皆様,土地の広さや評価は平米ではなく,坪で考えているようで,坪の単位の話をしたほうが,話がわかりやすいケースがあります。

 

物をどの単位で測るかは,わかりやすければそれでいいと思うのですが,法律はそれを許さず,「法定計量単位」を定め,これ以外の単位で取引や証明を行うことを禁止しています(計量法8条)。

 

そして,尺貫法の単位は,法定計量単位ではないため,いわば,法律が尺貫法(で取引や証明を行うこと)を禁止していることになります。

 

衆議院議員総選挙

今日は,衆議院議員総選挙の投票日です。

私も,台風の中,投票に行ってきました。

投票済証をいただいたのは初めてです!

 

選挙と馴染み深い弁護士業務といえば,選挙が終わると,一票の格差をめぐる訴訟が提起されることがあります。

憲法,非常に興味深い論点が含まれ,裁判例を細かく分析すると,純粋に憲法学上の議論として興味深い裁判です。

捨印

契約書等に捨印を押印することを求められたご経験のある方は多いと思います。

捨印の利用方法としては,明確な誤記があった場合などに,捨印により修正をすることが想定されているとはいえますが,なんでも好きなことを書かれるのではないかと不安に感じる方もいるのではないでしょうか。

 

そこで,捨印の効力がどう考えられているか,確認してみました。

捨印については,最高裁昭和53年10月6日判決で,一定の考え方が示されています。

この事案は,金銭消費貸借契約証書において,遅延損害金の記載欄が空白だったのを,捨印を利用して年3割と補充をして抵当権設定登記がなされた事案です。

判旨としては「捨印があるかぎり,債権者においていかなる条項をも記入できるものではなく,その記入を債権者に委ねたような特段の事情のない限り,債権者がこれに加入の形式で補充したからといって,当然にその補充にかかる条項について当事者間に合意が成立したとみることはできない。」としています。

上記判例は,捨印により,当然にいかなる条項をも記入できるものではないとして,捨印による訂正の効力を,債権者に委ねたかどうかという判断基準にかからせています。

そして,通常の契約においては,捨印は,明確な誤記の修正を委ねる趣旨といえると思います。

上記判例及び通常の契約の趣旨を考えると,捨印で契約の内容に関する修正を行うことは,原則として認められないと考えられます。

 

中小企業と民法改正

9月13日,名古屋青年税理士連盟にて,「中小企業と民法改正」というタイトルで講義をさせていただきました。

 

税理士の先生方にとっても非常に関心の高い分野のようで,皆様真剣に聞かれていました。

 

私も,施行までに,より改正民法の理解を深めておく必要があると感じました。

天気予報

今年の夏も台風が訪れました。

台風が来ると,裁判所に行けないなど,弁護士業務にも支障が出る場合があります。

 

台風被害を防ぐためには,台風の進路等の正確な予測に基づく予報が不可欠です。

そこで,気象業務法は,気象庁以外の者が予報業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならないこととし、予報業務を許可制としているようです。

たしかに,台風が来ないという不正確な予報に基づき遠出をしたら台風が来て帰れなくなったとなれば,困ってしまいます。

ただし,観測の成果に基く現象の予想の発表=予報をすることが禁止されるので,気象庁が発表したデータをテレビ番組でわかりやすく解説することには許可はいりません。

また,花粉情報なども,大気の諸現象ではないため,許可は不要とのことです。

詳細は気象庁ホームページを御覧ください。

コーク

弁護士は,業務にあたり,『法律学小辞典』を参照することがあります。

細かな議論は確認できませんが,関連分野の下調べの際に便利です。

 

中には,法律学と直接関係のなさそうな用語が載っています。

 

「絶対君主制」

山川出版社の世界史用語辞典に載ってそうな単語ですが,法律学小辞典にも載っています。

 

「コーク」

コカ・コーラのこと…ではなく,イギリスの裁判官にして法学者・政治家のようです。

 

「微生物の寄託」

ぱっと見たときは,生物学の教科書と間違えたかと思いました。

特許の世界で微生物を寄託することがあるようです。

請求異議

判決等債務名義に表示された請求権の存在又は内容について異議のある債務者が,その債務名義による強制執行の不許を求めるために提起することが出来る訴えのことを,請求異議の訴えと言います。

 

例えば,裁判で判決が確定した後に,全額弁済が行われたにも関わらず,強制執行がなされた場合には,判決後に弁済がなされたことを理由として請求異議の訴えを提起することができます。

 

確定判決の場合には,既判力があるため,異議事由は判決確定後に生じた事由でなければいけません。

 

弁護士として業務をしていると,このような判決後の事件にも携わる機会があります。

腕時計

弁護士は,時間に追われ,1分1秒も惜しい時があります。

そのときに,時計がずれていると,電車に乗り遅れたり,期日に遅れたり,散々な目にあってしまいます。

 

そのため,時間が正確にわかる腕時計は欠かせません。

 

そこで,腕時計について,検討してみました。

腕時計を動力から検討すると,

クオーツ式

機械式

に分類できます。

機械式はさらに

手巻き

自動巻き

にわけられます。

 

機械式は,場合によっては1日に数秒単位でずれることがあります。

ちょっと不便です。

また,数日ネジを巻かなかったり(手巻き式),つけなかったり(自動巻き)すると止まってしまいます。

ちょっと不便です。

 

クオーツ式は,時間は正確ですが,電池が切れると止まってしまいます。

時間を知りたいと思ったときに止まっているとアウトなので,やっぱりちょっと不便です。

 

私は,現在,ソーラーで充電ができ,電波受信で時刻を修正するクオーツ式の腕時計を使っており,今のところ止まったこともずれたこともなく満足しています。