印紙代はいくらか?

 訴状に貼る収入印紙の金額は,訴額によって決まります。

 そして,訴額をいくらと計算するかについては,法律があるわけではなく,「訴訟物の価額の算定基準について(昭和31年12月12日民事甲第412号高等裁 判所長官、地方裁判所長あて民事局長通知)」という,もともと裁判所内部で,各裁判所における受付事務取扱の参考資料として作成されたものに概ね従っています。

 この訴額の中には,例えば,共有物分割請求訴訟を提起するとすると,「分割前の目的物に対して原告が有する共有持分の価額の3分の1」などという形で,特に,不動産関連の訴訟では,割り算の結果を訴額とする基準が示されているものが結構あります。
 そして,目的物の価額は,不動産については,固定資産税評価額が基準となります。

 そこで,たまに悩むのが,「割り切れないときに訴額はいくらと決めればよいのか?」です。

 例えば,割り算した結果が,219万9999円99銭,だったとします。
 このとき,小数点以下を切り捨ててよいなら,訴額は219万9999円となり,この場合の印紙代は,1万5000円となります。
 仮に,小数点以下を切り上げ,または四捨五入しなければならないとすると,訴額は220万円となり,印紙代は1万6000円となります。

 この差は,訴額が大きくなればなるほど大きくなるといえるので,馬鹿にできない問題です。

 先に触れたとおり,特に訴額の計算について法律で定められているわけではないので,小数点以下の扱いについても,はっきり決まっているわけではありません。
 ただ,他の法律で,端数計算について参考になるものがありました。

 「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第3条は,債務の支払金の端数計算について,以下のように規定しています。
 「債務の弁済を現金の支払により行う場合において,その支払うべき金額(数個の債務の弁済を同時に現金の支払により行う場合においては,その支払うべき金額の合計額)に50銭未満の端数があるとき,又はその支払うべき金額の全額が50銭未満であるときは,その端数金額又は支払うべき金額の全額を切り捨てて計算するものとし,その支払うべき金額にも50銭以上1円未満の端数があるとき,又はその支払うべき金額の全額が50銭以上1円未満であるときは,その端数金額又は支払うべき金額の全額を1円として計算するものとする。ただし,特約がある場合には,この限りでない。」
 つまり,債務の支払金の計算においては,割り算した後の金額の小数点以下を四捨五入する,ということになります。

 この規定を類推すると,訴額の計算においても小数点以下は四捨五入,ということにはなりそうです。

 というわけで,私は名古屋では四捨五入するようにしていますが,他の弁護士がどうされているかはよく分かりません。