続柄の表記

 弁護士は,相続の事件で書面を作成するときは,結婚している夫婦の間に生まれた二番目の男の子のことを,「二男」と表記します。
 すると,お客様にたまにご指摘を受けます。
 「せんせい,間違ってますよ。『次男』ですよね」って。
 
 どちらが正解なんでしょうか?
 名古屋と東京でルールが違ったりするのでしょうか?

 実は,使用する場面においては「二男」の方が正しい(とされる)ことがあります。
 例えば,役所とか裁判所とか,公の場面で続柄を表記する場合は,「二男」と表記します。
 その理由は,戸籍の記載において「二男」と表記されるから,ということになります。
 戸籍法施行規則に「附録第六号 戸籍の記載のひな形(第三十三条関係)」というものがあり,この中で,「長男」「長女」「二男」「二女」という表記があり,これが根拠となるようです。
 
 ちなみに,日本新聞協会では「次男」という表記を使用しているということで,ニュースなどでは,「次男」の方がなじみがあると思います。
 というか,これは新聞等で「次男」が使用される理由にもなっているようですが,「二男」って,普通に読むと「になん」ですよね。「二」という漢字には,「ジ」という読み方はなく,常用漢字表にも記載されていません。

 ・・・と,ここまでであれば,「へ~,戸籍とかに関しては,日常とは違う漢字を使うんですね~」と,なんか豆知識ひとつ増えたな,くらいの感想で終われそうなんですが,個人的には少し厄介だな~と感じることがあります。
 
 相続に関する法律的な文書には「二男」「二女」と使用する,としたときに,例えば,遺言書を作成する場面をご想像ください。

 遺言書を作成するお父さんに,息子さんが3人いたとします。
 長男は家業を継いで頑張ってくれた,二男(次男?)は自分達夫婦の面倒をよくみてくれる,三男は東京の大学に行ったっきり,全く実家によりつかないし,あそこの嫁はなんか気にくわない・・・
 という状況で,お父さんが,長男と二男に,ご自分の財産のほとんどを相続させるような遺言書を『自筆で』作成されたとします。

 「不動産○○は長男に,預貯金△△は二男に~」というような内容の遺言書を作成し,これで自分に何かあっても安心・・・と思っていたら,その遺言書の内容を見た三男が,自分も財産が欲しい!と思った場合,こんなことにならなければいいなと思うんですが・・・

 「二男」の「二」に,一本横棒を入れると,簡単に「三男」になっちゃいますよね。
 もちろん,そうならないために,「二男山田次郎(平成〇年〇月〇日生)」というように,きちんと氏名と生年月日で特定すればこの危険は避けられますが,法律というか公的な文書で使用される表記の方が偽造されやすい表記というのも,なんか皮肉な感じがします。