ペットの相続

相続問題のご相談をお受けしていると,一定数遭遇するのが,「ペットに関するご相談」です。

その中でも,一番多いのが,「相続放棄したいがペットだけはなんとか遺された親族で面倒をみつづけたい」というご相談です。

被相続人に借金が多かったので相続放棄したいが,ペットは今までも家族が面倒をみてきたので,これからも面倒をみていきたい,という場合,どのような点が問題となるでしょうか。

まず,大前提として,ペットを可愛がってらっしゃる方々には少し失礼な考え方かもしれませんが,ペットは法律上は物として扱われます。

したがって,日本の法律では,ペットについては,だれかに所有権がある,ということになります。

そこで,ペットについて相続が発生するかどうかは,被相続人がペットの所有者かどうかが最初の分かれ目になります。

原則としては,ペットを購入するためにお金を出した人が所有者ということになると考えられますので,そのような場合は,相続の問題となり得ます。

次に,「相続放棄する一方で,ペットの面倒は見続けられるか」という問題については,民法921条との関係で問題となります。

民法921条は,柱書で,「次に掲げる場合には,相続人は,単純承認をしたものとみなす。」と定め,各号に定める行為をした場合は,相続放棄はできず,相続を承認したものと扱う,としています。

相続財産からある面で利益を得ていながら,債務だけを逃れるために相続放棄するような行為を認めないという趣旨と,相続財産についての法律関係を不安定な状態に長期間置かないという趣旨と考えられます。

そして,その1号には,「相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。」とありますので,ペットを「処分」したときは,相続放棄できないことになりそうです。

この「処分」には,譲渡などの法律上の処分のみでなく,滅失・棄損・変更などの事実行為も含まれるという解釈です。

もちろん,ペットを経済的に評価して,財産的価値がそれほど高くないのであれば,そもそも相続財産として考慮しなくてもよいという場合もありそうですが,仮にペットが相続財産に含まれるとした場合,ペットに対してどんなことをしたら「棄損」にあたるのか,正直はっきりしません。

しかし,ペットは,生き物である以上,世話をしないと弱って死んでしまいます。

誰かが面倒をみなければならないのも事実です。

ここで,さきほどの民法921条1号をみると,ただし書に,「保存行為・・・をすることは,この限りでない。」と書かれています。

「保存行為」とは,~なので,死なないように世話をするのは保存行為とみることができます。

そうすると,ペットの面倒をみても,相続放棄はできるという結論になる場合がほとんどと思われます。

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