限定承認について②

 前回は,限定承認をふくめ,相続の選択肢としては,単純承認,限定承認,相続放棄の三つがあるというお話をさせていただきました。
 今回は,他の選択肢と比較しながら,限定承認の利点や不利な点を考えてみたいと思います。

限定承認の利点について
 限定承認は,前回確認したとおり,相続人が,相続によって取得する財産のうち,プラスのものの範囲内でのみ,限定的に,なくなった方の債務を引き継ぐ,ということですから,たとえば,一方では,亡くなった方には多額の借金があり,相続財産をトータルで計算したらマイナスになってしまうが,他方で,亡くなった人がずっと住んでいた,相続人も思い入れのある建物や土地は守りたい,というような場合に,限定承認を選択するメリットがあるといえます。
 あるいは,亡くなった方に借金がどれくらいあったか分からない,多いかもしれないし少ないかもしれないが調べてみない分からない,というような場合にも,限定承認することが有効な場合があります。
 この場合は,借金がたくさんあるかもしれない以上,単純承認するわけにはいかないですし,また,相続放棄してしまった後に,意外に借金が少ないことが判明し,後から考えれば単純承認しても良かったと後悔する,ということは避けたいところです。
 以上のような場合,ひとまず限定承認をしておいて,その間に相続財産の調査を行い,借金が多ければ,プラスの財産を限度に弁済し,逆にそれほど借金が多くなければ,プラス分を引き継げばよいということになります。

限定承認の不利な点について
 限定承認は,相続放棄が,家庭裁判所に相続放棄の申述受理の申立てをすれば,あとは受理通知を待つという,割と簡素な手続であったり,単純承認が,特に特別な手続をしなければ原則として単純承認となることと比べると,実に複雑な手続となります。
 この点が,限定承認のデメリットといえ,多くの名古屋での弁護士に対するご相談者様が,最終的に限定承認を選択される数が少ない理由となります。
 その,限定承認のデメリットともいいうる,複雑な手続について,次回以降で概要をお話ししたいと思います。
以上