相続法の改正

 昭和55年の改正以来,久々に相続法が改正されました。
 施行は平成31年7月1日(一部規定を除く)です。
 以下,改正のポイントを簡単にご説明いたします。
なお,上記のとおり,一部の改正につきましては,施行時期がずれています関係上,詳細についてお悩みの際は弁護士等にご相談ください。

1 配偶者の居住権を保護するための方策の整備
  被相続人の死後,遺された配偶者が,そのまま建物に居住し続けることを認めるための規定が整備されました。
  居住権が保護される期間の長短に応じ,それぞれ配偶者居住権,配偶者短期居住権と呼ばれます。
  配偶者居住権とは,配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物につき,配偶者に終身または一定期間使用収益を認める内容の権利で,遺産分割で配偶者に配偶者居住権を取得させたり,被相続人が遺言で配偶者に配偶者居住権を取得させることが可能になりました。
  配偶者短期居住権とは,遺産分割により建物の帰属が確定するまでの間など,法定の一定の短期間のみ認められる配偶者居住権です。

2 遺産分割に関する規定の見直し
  遺産分割に関しては,配偶者保護のため,婚姻期間が20年以上の夫婦の一方配偶者が居住用建物や敷地を贈与されたり遺言によって取得した場合に,これらの財産を遺産分割において特別受益としなくてよいという規定が設けられました。
  また,現在の民法や家事事件手続法では認められていなかった,家庭裁判所の判断を経ないで遺産分割前に預貯金を払い戻せる制度と,現在の家事事件手続法で認められる預貯金債権の仮分割の仮処分の要件を緩和する制度が設けられました。
  さらに,遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合,現在の民法ではそれらの財産は遺産分割の対象となりませんでしたが,共同相続人の同意によって,それらの財産を遺産分割の対象とできる規定が設けられました。

3 遺言に関する規定の見直し
  自筆証書遺言の要件につき,現在の民法ではその全文を遺言者が自書する必要がありますが,財産目録については自書でなくてもよいとすることで,自筆証書遺言を作成しやすくする見直しがされました。

4 遺留分制度に関する規定の見直し
  遺留分減殺請求の効果として,現在の民法では認められていなかった,遺留分侵害額に相当する金銭債権が発生すると見直しがされました。
  
5 相続の効力に関する規定の見直し
  遺言書において,「Aに特定の財産を相続させる」といった内容が定められた場合,名義の変更などは不要で,当然財産がAに移転するとされていた現在の民法の解釈をあらため,第三者に対してAが権利を主張するには登記等が必要であるとする見直しがされました。