相続放棄と相続財産の管理について②

 前回は,相続放棄したとしても,どうやらすぐには被相続人の財産の管理義務から逃れることはできないらしい,ということに関して,民法第940条1項の条文をご紹介しました。
 もう一度,民法第940条1項を挙げると,「相続の放棄をした者は,その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで,自己の財産におけるのと同一の注意をもって,その財産の管理を継続しなければならない。」という条文でした。
 この条文を理解するために,今回は,「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで」の意味をご説明します。

 相続人には,「順位」があります。
 まず,ある人が亡くなった時,その人の配偶者(夫あるいは妻)は,いつでも相続人になりますので,順位は,第1順位になる人と同順位ということになります。
 民法第890条は,「被相続人の配偶者は,常に相続人となる。」と定められています。
 配偶者とともに,だれが相続人になるのか,について順位があります。
 相続人の順位に関係する条文は,民法第887条と第889条です。 
 まず,第887条1項に,「被相続人の子は,相続人となる。」と定められており,第889条1項に,「次に掲げる者は,第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には,次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。」と定められ,その「次に掲げる順位」というのは,「1 被相続人の直系尊属。ただし,親等の異なる者の間では,その近い者を先にする。 2 被相続人の兄弟姉妹」と定められています。

 ややこしいのでここまでを整理すると,
 まず,相続人の順位1番は被相続人の子です。
 亡くなった方にお子さんがいたのであれば,民法第887条1項と第890条より,そのお子さんと,配偶者がいれば配偶者とが相続人になります。
 この場合は,亡くなった方の親や兄弟は相続人とはなりません。

 次に,亡くなった方にお子さんがいなかったのであれば,第889条1項1号により,その方の親が相続人になります。
 この場合に,亡くなった方に配偶者がいたのなら,配偶者も相続人となります。
 仮に,亡くなった方の両親ともなくなっていたが,その親が存命なら,第889条1項1号のただし書きにより,親の親が相続人になります。
  
 そして,亡くなった方に子もいない,親も(そのまた親も,そのまた親も・・・)いない,ということで,亡くなった方より上に遡ってもだれもいない場合には,亡くなった方の兄弟姉妹が相続人となります。

つまり,相続人には,①被相続人の子,②被相続人の直系尊属,③被相続人の兄弟姉妹,という順位があり,先順位の相続人がいる場合は,次順位の人は相続人にはならないことになります(代襲相続については説明が複雑になるので触れません)。

やっと相続人の順位の説明が終わりましたので,次回は相続放棄後の財産管理義務の話に戻ります。

 名古屋でも先日の台風の影響で,相続財産の建物が棄損したというご相談を受けますので,タイミング的にお悩みの方はいらっしゃるかと思いますので,弁護士として少しでも本記事をご参考にしていただければと思います。