お盆明け

弁護士の橋場です。現在名古屋地区にて主に倒産事件を取り扱っています。

お盆が明けましたね。

お盆前に積み残していた仕事の処理に追われるのはどの業種でも同じでしょう。

弁護士も同じです。

特に個人の方の債務整理事件(自己破産や個人再生)はボーナス月(8月の方も少なくありません)の月末あたりが最も忙しくなります。

まさに今月です。

気を引き締めつつ,でも無理のない範囲で取り組んでまいります。

自己破産,個人再生って何だろう?という方は以下の弁護士法人心のサイトをご覧ください(自己破産サイト個人再生サイト)。

 

 

 

ご家族に内緒の借金と自己破産

1 ご家族に内緒で借金をしてしまうこと

人生の中で,大きな出費が必要になる時期が何度かあると思われます。

その費用の用立てのため,どうしても借金をしてしまうこともあるかもしれません。

そのような借金については,なかなか家族には話すことができないというお気持ちはよく理解できます。

2 自己破産への影響

このような方が自己破産をする場合,手続きにどのように影響してくるのでしょうか。

⑴ 裁判所に提出する家計簿の作成について

まず,自己破産をする場合,世帯全体での家計簿のようなものを裁判所に提出する必要があります。

この家計簿は,収入や支出についての資料を参照しながら作ることになります。

そうすると,正確な数字を記載するためには,ご家族の方についての収入や支出の資料を提出してもらう必要があることになります。

資料を見せてもらう場合,どうして必要になるのかという点は,ほぼ必然的に説明が必要になると思われます。

⑵ 陳述書について

もうひとつ,名古屋の裁判所に提出する自己破産の書式の内,陳述書という書類の中には,ご家族が借金について知っているかどうかを記載する欄があります。

家族は借金のことを知らないと記載すると,裁判所としてはどうして家族に説明しないのか,家族に説明しないまま作成した家計簿は本当に正確なのかという点を追及されてしまう可能性があります。

3 まとめ

結論として,ご家族に借金についてお話ししていただいた方がスムーズに手続きを進めることができることは間違いありません。

しかし,そうはいってもすぐには決心がつかないというお気持ちもよく理解できます。

いきなりご家族には話しづらいということであれば,まずは弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

自己破産とご家族の問題でお悩みの方はいつでもご相談ください(弁護士法人心の自己破産に関するサイトはこちらです)。

 

コメダ珈琲店のカツサンド

この前の休日に,コメダ珈琲店のカツサンドを食べました。

とてもおいしかったのですが,私にとっては量が多過ぎました。

仕事中に食べると眠くなってしまいそうです。

先輩弁護士に昼食の取り方を聞いたことがあるのですが,特に気にせずに食べる先生もいれば,少量に抑える先生もおり,やはり人それぞれでした。

食事の取り方も,仕事のスタンスも,自分に合った方法が見つかるといいですね。

名古屋は料理がおいしいので,食べ過ぎて仕事に支障を来たさないように気をつけましょう。

修習先事務所での懇親会

先日,私が司法修習をさせていただいた法律事務所の懇親会がありました。

司法修習生の時には見えなかったものが,今になって少しは見えてきたような気がしています。

司法修習中にお世話になった先生方や,歴代の司法修習生の先輩方とお話をすることができ,勉強になったことはもちろんですが,非常に楽しい時間を過ごすことができました。

外部の優秀な先生方との交流の機会は本当に貴重ですね。

歴代の修習生のうち,名古屋で弁護士をしているのは私だけでしたので,いつか名古屋方面の仕事を回していただけるよう,今は頑張りたいと思います。

弁護士と野球

この時期は高校野球の予選大会が始まっている頃ですね。

私自身も高校3年生までは野球をしていました。

意外に思われるかもしれませんが,弁護士の中には野球経験者が少なくありません。

規模の大きい弁護士会には野球チームがあり,毎年大会が開かれているほどです。

もちろん愛知県弁護士会にも野球チームがあります。

仕事もスポーツも全力で楽しめるといいですね。

裁判所で行われる出席確認

先日,三重県の津地方裁判所のとある支部に出廷する機会がありました。

三重県にお住まいの方の事件を受任し,裁判に発展したため出廷した次第です。

事件はいわゆる過払金返還請求事件でした(過払金の問題についてご興味がある方は弁護士法人心の過払金のサイトをご覧ください)。

裁判所に弁護士が依頼者の代理人として出廷する場合,出席確認のようなものがなされます。

私が司法修習をしていた地域の裁判所には出席簿のようなものがあり,それにサインをすることで出廷した者が代理人弁護士であることを確認していました。

しかし驚いたことに,先日私が出廷した裁判所では,「先生のお名前を伺ってよろしいですか?」というように,代理人弁護士であることの確認が口頭でなされたにすぎなかったことでした。

裁判所の運用も様々ですね・・・

新版の書籍について

名古屋市で弁護士をしている橋場と申します。

先日,「個人再生の手引」という書籍の第2版が発売されました。

この本は実務においてよく問題となる論点の処理方針について解説されており,調べ物をする際に重宝しています。

個人再生の申立ては年々増加しており,私が取り扱っている事件数も相当な数になりました。

個人再生について役立つ情報が掲載されている弁護士法人心のサイトはこちらになりますのでご参考までに。

自己破産と保険について(2)

自己破産と生命保険金について

1 自己破産した人が生命保険金を受け取った場合,この生命保険金はどうなるでしょうか

自己破産をする方が裁判所から破産手続開始決定をもらう前に,生命保険金の受取人とされていることがあります。

この場合,破産手続開始決定後に受け取った生命保険金はどうなってしまうのでしょうか。

2 自己破産手続きの建前

自己破産においては,原則として破産者の財産は各債権者に平等に分けることとなっています。

しかし,裁判所による破産手続開始決定後に破産者が取得した財産については,この限りではないとされています。

3 近時の判例(最判平成28年4月28日)

生命保険の死亡保険金の受取人が破産した事例において,死亡保険金請求権により破産者が受け取るべき死亡保険金が,破産手続きによって各債権者に平等に分けるべき財産となるのかどうかが問題となりました。

判例の事案では,生命保険契約は破産手続開始申立てまでに締結されており,死亡保険金の受取事由が発生したのは破産手続開始決定後となっていました。

結論として,死亡保険金の請求権は各債権者に分配すべき財産に含まれるとの判断がなされました。

自己破産をする場合で,保険金の受取事由が発生したケースでは注意が必要でしょう。

4 その他,気になる点

この事例では,破産者は受け取った生命保険金を費消してしまっていました。

私が判決文の中で気になったことは,受け取った生命保険金の費消は弁護士の指示に基づくものであったという点です。

破産者の財産を散逸させた弁護士への責任追及もなされています(>_<)

同じ倒産事件を扱う弁護士として,注意しなければなりませんね。

名古屋在住の私が所属する弁護法人心(自己破産サイトはこちらへ)では,毎月事務所内で研修を行い,最新の判例の動向や関連する問題点について検討しています。

いつでもミスのない事件処理を心掛けたいものです。

自己破産と保険について(1)

~自己破産をした場合,保険はどうなるのでしょうか?~

1 残せる場合と,残せない場合があります

自己破産して借金をきれいにしたいが,一方で保険は残したい・・・

このようなニーズは必ずあると思います(なお,自己破産に関する弁護士法人心のサイトはこちらです)。

特に生命保険については一度解約してしまった場合,契約し直すことは年齢等の制約があるため困難を伴うことがあります。

基本的には自己破産をしても最大99万円までの財産は手元に残せる可能性があるため,生命保険を残すことができる可能性があります。

2 自己破産における保険の財産的な評価

(1)解約返戻金の金額

保険の価値は,その保険を解約した場合に返還されるお金(解約返戻金といいます)の金額です。

(2)契約者貸付を受けている場合

保険の中には,解約返戻金の金額の限度でお金を借りることができるものがあります(契約者貸付といいます)。

契約者貸付を受けている場合,自己破産における保険の財産的な評価の仕方は少し変わってきます。

例えば,解約返戻金の金額が100万円ある保険について,契約者貸付で70万円を借りている場合,自己破産における保険の財産的な評価は30万円であるとされるこ

とが原則です。

(3)直前の現金化の問題にご注意ください

しかし,自己破産手続きの直前に契約者貸付を受けた場合は,直前の現金化という問題が残ります。

自己破産手続きの直前に財産を費消しやすい現金に換えてしまうことで財産隠しができてしまうという問題意識です。

契約者貸付を受けた場合,それにより受け取った現金の使い道が問題となります。

例えば生活費であれば問題がないとも思えますが,浪費していると見られてしまうと,自己破産手続きの中でいくらかは弁償を求められる可能性があります。

求められなかった弁償ができなかった場合は,免責(借金を0にする手続き)が許可されないおそれがあります。

 

~保険の問題が絡む自己破産については,ネット情報だけに頼らず弁護士にご相談ください~

今日,ネットで検索をすれば自己破産と保険に関するサイトはいくらでも出てきます。

しかし,自己破産を含む倒産事件の大きな特徴として,地方ごとに裁判所の運用が大きく違うことが挙げられます。

名古屋にお住まいの方がたまたまネットで見つけたページは,名古屋以外の地域について説明しているサイトかもしれません。

また,そもそも不正確な情報であったり,誤解を生むような表現になっていることがあります。

ネット情報も有用ですが,正確な情報を得るためにはお住まいの地域の弁護士に相談されることをお勧めします。

 

~次回について~

自己破産と保険の問題に関しては,近時最高裁判所の新しい判例が出ており注目されています。

それだけに最新の動向を踏まえた方針の選択が必要になってきています。

次回は受け取った保険金と自己破産に関して近時の最高裁判所の判断を説明したいと思います。

 

弁護士とスタッフについて

1 弁護士とスタッフ

弁護士業務は複雑多岐にわたり,弁護士1人の力ですべてを処理していくことは,時に困難です。

事件の数が増えてくるにつれ,必ずスタッフの方の力を借りる必要が出てきます。

スタッフの方と協力して,よい事件処理ができるように努めていきたいと思います。

 

2 ご報告

先日,弁護士法人心柏駅法律事務所が発足しました。

柏や近辺にお住まいの方は,お気軽にご相談ください。

弁護士法人心をご紹介するページはこちらです。

 

 

 

 

 

弁護士の出張相談

1 弁護士の出張相談について

法律問題は全国どこにでも発生する可能性があります。

問題に直面したとき,頼りにすることができる弁護士がいるかどうかの差は大きいものです。

ただ,弁護士の数が多くない地域も存在します。

そのようなときは,出張相談という形で遠方の地域に相談に行くことがあります。

2 弁護士法人心について

弁護士法人心には複数の事務所が存在し,出張先でもその地域の拠点で相談の対応ができます。

このたび,新たに弁護士法人心柏駅法律事務所が設立されました。

弁護士法人心柏駅法律事務所のホームページはこちらになります。

 

 

欧陽修について

こんにちは。

名古屋で倒産事件を取り扱っている弁護士の橋場です。

今回は、欧陽修の言葉についてお話したいと思います。

1 欧陽修について

欧陽修は11世紀ごろの中国の政治家、詩人・文学者、歴史学者です。

その作品等は非常に有名で、ご存知の方も多いことでしょう。

2 「三上」

「三上」という言葉を残しています。

これは良い考えの生まれやすい状況が3つあるというものです。

1つ目は乗り物に乗っている時

2つ目は布団で寝ている時

3つ目は便所の中です。

欧陽修が言う「三上」と全く同じではないのですが、私自身、非常に共感できる部分があります。

パソコンの前にじっと座っているだけでは考えがまとまらないときがあります。

一度席を立って散歩してみたり、10分程度仮眠をとってみたりすると、考えが整理されたり、手詰まりだと思っていた事案が以外とそうでもないことに気がつくことがあります。

先人の言葉はよいアドバイスになることを改めて実感した次第です。

 

 

 

 

外部の方との交流

こんにちは。

名古屋で倒産事件を中心に扱っている弁護士の橋場です。

今回は、外部の法律事務所の方との交流についてお話します。

1 外部の法律事務所の方の話を聞く機会の確保について

自分が所属している事務所の方とは、事件のことなどについて相談する機会を作ることは比較的容易であることも多いでしょう。

しかし、外部の法律事務所の方と仕事に関する話をする機会は以外と限られています(もちろん守秘義務に反しないことが大前提です)。

外部の弁護士との交流を作るためには、自分から積極的に外部との交流の機会を意識して作ることが必要になってきます。

私は倒産実務委員会に所属しており、委員会での議論は取り扱い分野と関連が強いため、大変勉強になっています。

 

2 外部との交流での発見

外部の法律事務所の弁護士の話を聞くことで、新鮮な発見を得られることもよくあります。

期が上の先生のお話を聞く機会は大変貴重なものです。

また、同期や期が近い弁護士がどのような仕事をしているのかということは聞いていて刺激になることもあります。

多くの方の話を聞くことで、少しでも業務の質を上げていきたいものですね。

 

弁護士業務と会計知識について

こんにちは。

名古屋で倒産事件を中心に取り扱っている弁護士の橋場です。

今回は,弁護士業務と会計知識についてのお話をしようと思います。

1 会計知識が必要な場面の例

(1)倒産事件

個人事業者や会社の倒産事件を取り扱う際には会計知識が必ず必要になってきます。

会計知識は,決算書を読み解いたり,事業についての説明を聞いてイメージを作るための前提になってきます。

資格まで取る必要はないかもしれませんが,さしあたっては簿記2級程度の知識があれば,スタートラインには立てると思います。

(2)企業関係の事件

企業関係の事件と一口にいうとあまりにも漠然としていますが,例えば営業損害についての損害賠償請求事件が例に挙げられます。

損害の算定の仕方には様々な要素がありますが,少しでも依頼者に有利な算定となるように事件を進めるためには,営業損害の算定の仕組みを理解していること

が必要となってきます。

2 最近読んだ本

「ストーリーでわかる営業損害算定の実務」という本が,導入にはもってこいだと思います。

前提知識がなくても読み進めやすい部類の本である一方で,実際の裁判例も挙げられており実践的です。

また,会計用語の意味がわかりやすく解説されており,どのような仕組みで営業損害を算定していくのかという思考過程がよくまとまっているという印象です。

執筆者は弁護士兼会計士の先生であり,弁護士の視点と会計士の視点で描かれている点も新鮮です。

先入観を持たず様々な分野の勉強をすることが,中心となる取り扱い分野にも生きてくるのだと思いました。

 

 

 

司法試験について

こんにちは。

名古屋で倒産事件を中心に扱っている弁護士の橋場です。

今回は司法試験についてお話ししようと思います。

1 司法試験の概要

平成29年の司法試験は5月17日(水)から始まります。

司法試験は論文式試験と短答式試験に分かれており,合計5日間(休憩の日を含む)を戦う長丁場です。

2 体調に気をつけて

おそらく聞き飽きているかと思いますが,受験生の皆さんは,くれぐれも体調に気をつけてください。

本当に大切なことだからこそ,聞き飽きるほどに聞く機会があるのだと思います(笑)

かくいう私の受験時の体調は最悪で,試験終了後の体重は試験開始前と比べて5キロも減っていました(>_<)。

直前期は余分なストレスを抱えないように適度な気分転換もしてくださいね。

事業者の破産について

こんにちは。

名古屋で倒産事件を中心に扱っている弁護士の橋場です。

毎年,3月から4月にかけては,事業者の方の倒産事件の依頼が舞い込むことが多いです。

理由はいくつか考えられますが,日本では3月を決算時期としている会社が多く,会社の業績を確認して倒産の決断をされることが主な理由といえます。

相談に来られた方のお話を伺っているときは,非常に辛い決断をされたことが痛いほどに伝わってきます。

事業者の方にとって少しでも良い再スタートとなるよう,お手伝いをさせていただく仕事に携わることができることに対して,大きなやりがいと責任を感じる次第です。

弁護士法人心の自己破産のサイトはこちらです。

 

委員会について

こんにちは。

名古屋で倒産事件を中心に扱っている弁護士の橋場です。

今日は委員会についてお話ししようと思います。

弁護士が弁護士として活動するためには,弁護士会に加入し,弁護士登録をしている必要があります。

そして,弁護士会には,委員会が多数存在しています。

活動内容は様々です。

一例をあげると,特定の専門分野についての研究発表を行うこと,他業種との交流を行うこと,司法制度や弁護士会の今後の在り方を考える委員会が存在します。

先輩弁護士からは,「弁護士は孤立してはならない」という趣旨のアドバイスをいただきました。

委員会活動は,一定の目的をもった方々が集まり,議論を深めるなどして,交流を図ることができる場であるといえるかもしれません。

委員会活動に限らず,多くの方から学び,自らも何かしらの価値を提供できる良い関係を作りたいものですね。

書籍の購入

こんにちは。

名古屋で倒産事件を中心に扱っている弁護士の橋場です。

今回は,書籍の購入についてお話したいと思います。

よく,弁護士は一生勉強といわれます。

司法試験はゴールではありません。

弁護士になってからの方が,学ぶべきことは本当にたくさんあります(本来であれば弁護士になる前に身につけておくべきこと,身につけておけばよかったこともたくさんあるのですが)。

学ぶための一つの方法として,書籍を購入することが必要になる場合があります。

よくわからない分野について一から調べることが時に必要となるため,該当分野で実務上参照されている本が存在するのであれば,そのような有力な本を使うことが無難かもしれませんね。

 

 

無料法律相談

こんにちは。

名古屋で倒産事件を中心に扱っている弁護士の橋場です。

先日,某所で無料法律相談を担当させていただきました。

私自身が普段取り扱うことが少ない分野の相談が多く,程よい緊張感をもって臨むことができました。

また,法律ではいかんともしがたい問題も多く,歯がゆい場面もあったところです。

学生の頃,「法律は道具にすぎない。本質的な問題の解決は別のところにある」との教授の教えを身をもって実感する機会となりました。

今回の無料法律相談に来ていただいた方々がよりよく生きるため,少しでもお役に立てたのであれば,これ以上の喜びはありません。

 

破産・再生と自動車の所有権留保(6)

こんにちは。
名古屋で倒産事件を中心に扱っている弁護士の橋場です。

前回のブログで,信販会社が登録名義を有していない自動車について倒産手続開始前に留保所有権に基づき自動車を引き上げ換価することは否認対象行為となりうることを検討しました。

現状では,契約書に信販会社が民法の法定代位により留保所有権を取得できる旨の記載がある場合には,引き上げて換価しても否認対象行為としないことがあるようです。

今回は,否認における有害性の観点からの検討を加え,あえて現状に反対する見解を検討したいと思います。

1 否認における有害性

一般に,別除権の対象となっている物からの一般債権者への配当は期待されておらず,したがって担保目的物から特定の債権者が優先弁済を受けても有害性は認められません。

しかし,今回問題にしている自動車の留保所有権については,信販会社に対抗要件がないため,有害性を問題とする余地があります。

2 強制執行の場面からの検討

一般論としては以上のとおりなのですが,強制執行の場面を検討してみると,有害性が本当に認められるのか,若干の疑問があります。

というのも,債務名義に基づき強制執行をするためには,債務名義上の債務者(今回でいえば破産や個人再生をする方)と差し押さえるべき財産の所有者(今回でいえば登録名義のある販売会社ということになります)が一致していることが必要です。

そうすると,今回の事例では不一致があることが明らかであり,少なくとも一般債権者が強制執行することはできないと考えられます。

帰結としては,このような状況で自動車を強制執行して換価できるのは事実上販売会社か信販会社のみということになります。

したがって,自動車からの一般債権者への配当は期待されていないといえ,信販会社が登録名義を有していない自動車について倒産手続開始前に留保所有権に基づき自動車を引き上げ換価したとしても,否認における有害性を欠くという考え方も成り立つともいえるでしょう(以上の点につき,事業再生と債権管理第155号82頁参照)。

3 まとめ

今回の分野についての見解は未だ固まっていません。

今後,構成や結論が変わってくる可能性があります。

倒産事件を扱う一弁護士として,今後の流れに注目していきたい分野です。

なお,私が在籍している弁護士法人心の自己破産サイトはこちらです。