給与所得者の休業損害②

こんにちは。名古屋の弁護士の松岡聡司です。

前々回,給与所得者の休業損害についてお話ししましたが,今回はその続きで,交通事故で怪我をしてその通院等のために有給休暇を取得した場合の休業損害の計算方法についてお話します。

前回のお話では,基本的には会社を休んで収入が減少した場合にその減収部分を休業損害として請求できるとご説明いたしましたが,有給休暇を取得した場合,収入の減少はありませんので休業損害を請求できないとも思えます。しかし,本来であれば自由に取得できるはずの有給休暇を通院等に充てなければならなくなったということになりますので,減収が生じていなくても有給休暇を取得した日数分の休業損害を請求することができるとされています。

有給休暇について休業損害が発生すること自体は,さほど争いになることはありませんが,休業損害の計算方法について争いになることがあります。

相手方保険会社は,通常の欠勤と同じように事故前3カ月間の収入を90日で割った金額を1日当たりに収入とし,有給休暇を取得した日数分の金額を提示してくることがほとんどです。しかし,裁判例上は事故前3カ月分の収入を事故前3カ月間の稼働日数で割った金額を1日の基礎収入として計算したものが多く見受けられます。稼働日数で割れば,1日当たりの基礎収入が増えますので,休業損害の金額の増額の可能性があります。

休業損害に関しても弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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