過払金が発生する仕組み

こんにちは。10月に入り,名古屋でも朝や夜は少し肌寒い季節になってきました。気温の変化で体調を崩されないようお気を付けください。

さて,今回はテレビや電車の中の弁護士事務所の広告等でよく見かける過払金ついて,そもそも過払金はなぜ発生するのか,という仕組みをご説明します。

⑴ 従前の法律の規定

まず,お金を貸す際につける利息については,利息制限法と出資法という法律がありました。

利息制限法では,利息の上限が定められており,元本が10万円未満であれば年20%まで,10万円~100万円未満であれば年18%まで,100万円以上であれば年15%までと規定されています。

また,改正前の出資法では,利息の上限は年29.2%までとされていました。

貸金業者が出資法の上限利息を超える利息を付けた場合,刑事罰の対象とされていましたが,利息制限法の上限利息を超えても刑事罰や行政処分の対象とはされていませんでした。

また,旧貸金業法には,一定の要件を満たす場合には,利息制限法を超えた利率で利息の支払いを受けたとしても,有効な弁済があったとみなすこと(みなし弁済)が認められていました。

そのため,多くの貸金業者は刑事罰を回避するために出資法の上限利息の範囲内には収めるけれども,利息制限法の上限利息を超えるような利率で貸付けを行っていました。この出資法の上限利息と利息制限法の上限利息との間の金利帯はグレーゾーン金利と呼ばれていました。

 

⑵ 最高裁判例と法改正

しかし,平成18年1月13日の最高裁判例において,旧貸金業法のみなし弁済が実質的に否定され,その後貸金業法,出資法の改正がなされ,グレーゾーン金利が撤廃されました。

⑶ 過払金の発生

このように,みなし弁済が実質的に否定されたことから,利息制限法を超えた部分の利息については,「借金を払いすぎていた」ことになるため,過払金として返還請求ができるようになりました。

次回は,どのような場合に過払金が請求できるかを詳しく見ていきたいと思います。