言葉の使いかた

弁護士の仕事をしていると,細かな言葉遣いに注意を払わねばなりません。

普段何気なく使っている言葉でも,

いざ正式に文書に書いて依頼者や裁判所に送らなければならなくなると,

これで間違っていないのかと不安になることはたくさんあります。

たとえば,先日は,「インターフォン」が正しいのか「インターホン」が正しいのか悩みました。

調べてみると,原語の発音に近いのは「インターフォン」ですが,広く使われている表記は「インターホン」であり,どちらも間違いではないようです。

弁護士の専門家認定制度

いま,弁護士会のなかで,弁護士の専門家認定制度を作ろうという動きがあるようです。

お医者さんであれば,外科の先生,内科の先生,産婦人科の先生と,専門科が明確に書かれていて,お医者さんを選ぶときに便利な仕組みになっています。

「息子が急に熱を出したので診てください」といって,脳神経外科を訪問する人は,およそ考えられません。

しかし,弁護士の業界では,そもそも,どの弁護士がどの分野を得意としているか,力を入れているかが利用者に分かりづらいのが現状かと思います。

その点で,専門家認定制度というのは面白い試みだと思います。

他方で,認定基準や都市部と地方での弁護士の取り扱い分野の多様性の違い等から,本当に制度として機能するのかという疑問もだされています。

一度,弁護士を利用する側の立場の方にも,「~分野の専門家」というお墨付きが弁護士会から与えられている弁護士に対してどういう印象をもち,何を期待するのか,考えて,意見をきかせていただきたいなと思います。

偏り と 片寄り

「偏り」と「片寄り」というよく似た言葉の使いわけをご存知でしょうか。

「偏り」は,ある基準から一方に寄っていることであり抽象的な話です。

「片寄り」は,真ん中から外れて片方に寄っていることであり,具体的にイメージがしやすいかと思います。

前回書いた,弁護士の東京一極集中は,弁護士全体の分布といういみでいうと,東京に著しくバランスが傾いているという点で「偏り」という表現が出来るかと思います。

また,名古屋は日本のど真ん中といったりしますが,

東西の地理的な問題でいうと,名古屋を中央において東の方の東京に弁護士が多いという状況をイメージすると「片寄り」ということもできるかもしれません。

弁護士人口の偏在について

弁護士の人数は,地方ごとにかなりばらつきがあることをご存知でしょうか。

現在,日本の弁護士の数は約3万6000人です。

そのうち,半数近い約1万7000人の弁護士が,東京の弁護士会に所属しています。

次に多いのは,大阪ですが,人数は約4200人程度であり,東京に比べるとはるかに少ない人数です。

愛知県弁護士会も,比較的多くの弁護士が所属している弁護士会ですが,それでも約1800人程度の人数であり,東京の弁護士の10分の1程度の規模です。

いかに,東京に弁護士が集中しているかがおわかりいただけるかと思います。

好きな条文

どの業界にも,業界特有の話題というものがあるものです。

弁護士(および法学部生)のなかで時々でてくる話題は,「あなたの一番好きな条文は何ですか?」というものです。

よくある答えとしては民法の一番初めにでてくる「信義則」の条文や,変わり者の弁護士ですと「大日本帝国憲法第1条」という答えもあったりします。

もし,法律関係のお仕事をされていない方で,弁護士と会話する際に,会話の話題に困ったときには,ぜひ「あなたの一番好きな条文は何ですか?」と問うてみてください。

言葉の使い方 続編

前回は,弁護士が使う法律的な言葉遣いの例として「及び」「並びに」を紹介しました。

では,「AとBのどちらか」ということを示す時の言葉遣いについてはどうでしょうか。

法律では,「又は」と「若しくは」を使います。

そして,「果物か飲み物のどちらかを選んでください。果物はリンゴかミカンのどちらか,飲み物は牛乳か水のどちらかです。」というときは

「リンゴ若しくはミカン,又は,牛乳若しくは水」という言い回しにするようになっています。

言葉の使い方について

弁護士の仕事をするうえで,適切な言葉遣いは重要です。

たとえば,「及び」と「並びに」の決まった使い分けをご存じでしょうか。

これは,法律文書等ではきちんとルールがあり,

たとえば,リンゴとミカンといった果物グループと,牛乳と水という飲み物のグループを食卓に並べるときには

「リンゴ及びミカン並びに牛乳及び水」というように,下位のグループ内部の結合は「及び」でつなぎ,上位のグループ同士の結合は「並びに」というルールがあります。

 

司法試験の結果について

日弁連新聞の10月号が届きました。

記事にあった,今年の司法試験の結果を見ると,合格者は1583人になったようです。

弁護士の急増が社会問題として取り上げられていますので,合格者数を減らすことはやむを得ないという判断はあるのだと思いますが,

自分が受験生であった頃の気持を思い出すと,なかなか複雑な心境になります。