街の風景と法律による規制

街を散歩したり,自転車で走っていたりすると,場所によって街の風景が,随分違うものだなと気付くことがあります。

たとえば,名古屋駅の周辺には大きなビルが立ち並んで大都会という印象を受けますが,太閤通りの南側にわたって黄金駅の方に向かおうとすると,途端に,平屋や2階建ての住宅ばかりにになり,いかにも住宅街という風景になります。

あるいは,太閤通りを中村公園駅の方まで移動する場合,太閤通り沿いには,かなり大きなビルが立ち並んでいるのですが,一本南側や北側の道路を通ると,こちらもいかにも住宅街という風景です。

単純に,建物に対する需要を考えるのであれば,これはちょっと不思議なことに思えます。

太閤通り沿いに大きなビルを建てて,そこに賃借人が入るのであれば,そこから数十メートルしか離れていない一本裏の道にビルを建てても,一定の賃借人が見込めるように思われます。

10階建てのマンションの裏に7階建てのマンション,その裏に5階建てのマンションというように,大通りから段階的にビルの規模が小さくなるというのが自然な形のように思われますが,実際には,大通りに面しているかどうかで,建物のの大きさに,大きな落差が生じています。

このように,街の風景に大きな違いが出来る理由として,都市計画法の用途地域による規制があげられます。

都市計画法は,都市の健全な発展等を目的として制定された法律です。

その都市計画法の中では,都市部について,全部で12種類の用途地域というものを定めて,その用途地域ごとに,建設できる建物の種類や規模等を規制しているのです。

先ほどの,名古屋駅周辺の風景についても,名古屋駅付近(裏側)では,おおむね太閤通りを挟んで北側は商業地域といって,建てることのできる建築物の規模に制限が少ない地域であるのに対して,太閤通りの南側では,多くの場所が,第一種住居地域となっていて,建てることのできる建物の規模等の制限が大きい地域となっています。

また,太閤通り沿いの地域も,太閤通りに面した箇所は,商業地域となっているのですが,そこから一歩,外れると第一種住居地域となっています。

このように,見慣れた街の風景にも,実は,法律による規制が深く関わっています。

なお,名古屋市に住んでいらっしゃるかたであれば,自分の住んでいる地域が,どの用途地域に該当するのかついては,

「名古屋市 用途地域」というキーワードでインターネットで検索していただければ,すぐに確認することができますので,一度確認してみると面白いかもしれません。