内々定の法律上の意味

就職活動をしていると「内々定」という言葉を耳にすることがあるかと思います。

また,企業側で採用活動に関わる方であれば,「内々定」を出すことがあるかもしれません。

ただ,この「内々定」の法律的な意味を適切に理解されている方は少ないように思います。

通常,内定は,一応労働契約(解約権留保付労働契約)が成立しているのに対して,内々定は,労働契約が成立していないと考えられえます。

そのため,内定であれば,特別な事情がなければ企業側が取り消すことができませんが,内々定であれば,原則として企業側が取り消すことができます。

ただ,内々定の実態は,企業によって様々で,具体的な事情によっては,内定と同様に取り扱われることもあると考えられます。

つまり,「内定」と「内々定」のどちらの表現を使っているかという形式面だけでなく,例えば,他の企業への就職活動が禁止されていたのかなど実質面も見られるということです。

また,内々定が内定と同視できるとまでは言えないとしても,内々定を取り消しに至るまでの経緯によっては,内々定を取り消した企業が損害賠償責任を負うこともあります。

例えば,経営が悪化しており内々定が取り消さなければならない可能性があるにもかかわらず,内々定者にはそのことを一切告げず,むしろ他の企業への就職活動を禁止し,正式な内定通知日直前になって内々定を突然取り消すといったような場合には,企業側に損害賠償責任が発生する可能性が高いものと考えられます。

このあたりは具体的な事情によって判断が異なってくるところですので,実際にお悩みの方は,弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めします。