株式の譲渡制限

原則として,株式は自由に譲渡できるため,第三者によって会社の株式を取得されることもあります。

例えば,次のようなケースが考えられます。

「AさんとBさんがそれぞれ株式を50パーセントずつ所有していたところ,Bさんが,Aさんに相談することなく,自分の所有する株式全てをCさんに譲渡した。」

この場合,Aさんが知らない間に,Cさんが会社の株式の50パーセントを取得してしまいます。

取締役の選任等については株主総会決議によって行いますが,株主総会決議は,株主総会に出席した株主の過半数の賛成が必要です。

そのため,もしAさんとCさんの意見が合わない場合,株主の過半数の賛成が得られず,株主総会決議ができないことになってしまい不都合です。

このような事態を避けるために,定款に株式の譲渡による取得は会社の承認を要すると定める形で,株式の譲渡制限をすることができます。

定款による株式の譲渡制限を行うためには,株式の譲渡制限について登記しておく必要があります(株券発行会社では株券に株式の譲渡制限に記載することも必要です)。

このような定款による株式の譲渡制限は,多くの非上場会社において行われています。

会社の種類いろいろ

「会社」というと,多くの方が株式会社をイメージされますが,株式会社以外の種類の会社もあります。

会社は,まず,株式会社と持分会社に分かれます。

さらに,持分会社は,合名会社,合資会社,合同会社の3つに分かれるため,日本の法律上設立できる会社としては,株式会社,合名会社,合資会社,合同会社の4種類となります。

株式会社は,出資者である株主が自ら経営を行うのではなく,株主総会で選任された取締役が経営を行います(もっとも,株主が自らを取締役に選んだ上で経営を行うことは可能です)。

また,株式会社では,出資者である株主は,会社の債権者に対して責任を負わず,会社の債務について株主が請求を受けることはありません。

他方,持分会社は,原則として出資者が会社の経営を行います。

そして,持分会社のうち合同会社は,株式会社と同じく,出資者は会社の債権者に対して責任を負いません。

これに対して,合名会社は,出資者の全員が会社の債権者に対して責任を負い,会社の債務について出資者が請求を受けることがあります。

合資会社は,合同会社と合名会社の中間で,会社の債権者に対して責任を負う出資者と,責任を負わない出資者が混在しています。

なお,従来は有限会社という種類の会社が存在しましたが,有限会社法は廃止され,現在新たに有限会社を設立することはできません。

会社を設立する際には,まずどの種類の会社にするかを決めなければなりません。

それぞれ,メリット・デメリットがありますので,会社設立の際にお悩みの場合には,弁護士等の専門家にご相談されるのがよいかと思います。